三浦副院長はこう指摘する。

「35度を超える気温のなかで、扇風機の風を首にあてるのは、ドライヤーの熱風をあてるようなものです。首には頸動脈(けいどうみゃく)という太い血管がある。熱い血液が首から脳、体中にめぐってしまうわけです」

 ミニ扇風機のショッピングサイトでは、ベビーカーにミニ扇風機を取りつけた写真が掲載されているが、これも避けたい行為だ。

 日光を遮ろうと、ベビーカーに日よけをかぶせて扇風機を使用するのは、マフラーを巻いて温風をあてているのと同じことだという。

 冒頭の女性は、扇風機の風を、「涼しい」と話していたが、その日は35度を超える猛暑。それは「涼しいと錯覚しているだけ」(同)。

 では、ミニ扇風機を屋外で使うには、どうしたらいいのか。

 水を霧状に噴射するスプレーボトルやぬれタオルを一緒に使うことが重要だという。ぬらした肌から水分が熱を奪って蒸発してくれるからだ。液体を噴射するタイプの化粧水の空き瓶に、水を入れて持ち歩くのもおススメだ。

 熱中症を防ぐためには、気温や湿度、地面の照り返しを考慮した「暑さ指数」を知ることも大事だという。

「計測できる熱中症指数モニターは数千円で購入できます。ぜひ、持ち歩く習慣をつけてください」(同)

(本誌・永井貴子)

週刊朝日  2019年9月6日号