山田:逃げ恥(「逃げるは恥だが役に立つ」TBS系、2016年放送)みたいに後半から右肩上がりになる予感。高橋一生が出ている作品のパターンでもある。

──名の通った女優たちが出演しているのも今クールの特徴。その中でも注目すべきは誰?

山田:みんなすごくチャレンジしている。特に「ルパンの娘」(フジテレビ系)の深キョン。泥棒一家の娘が刑事と恋に落ちるラブコメですが、「東京ガス」のCM同様コスプレで。

カトリーヌ:36歳ですよ。

山田:泥棒スーツを着る深キョン、すごくいいよね。

カトリーヌ:エンタメ色が濃いドラマ。毎週なぜかミュージカルシーンがあるんだけど、実際にミュージカルに出演している俳優さんをちゃんと起用している。そういうところ、なんか、フジテレビっぽい。

山田:フジテレビのドラマに元気が出てきたってこと。

カトリーヌ:もうちょっとふざけてもいいくらいです(笑)。

山田:石原さとみ主演の「Heaven?~ご苦楽レストラン~」(TBS系)は、何というか、あれだけのキャストをそろえていて、もったいない。

カトリーヌ:石原さとみは、「アンナチュラル」あたりでやっと女優としてラブコメだけではない世界が開けてきたのに、このドラマでまた演技の幅が戻ってしまった気がします。原作はものすごく面白いんですよ。『動物のお医者さん』で知られる佐々木倫子さんの漫画です。

山田:同じように漫画が原作といえば「偽装不倫」(日本テレビ系)。これは、キャスティングに違和感があるんです。主人公は婚活に疲れた独身女性で、既婚とうそをついて年下のイケメンと付き合うというこじらせた役どころ。それを実生活では東出昌大が夫で3人の子どもを子育て中の幸せな杏が演じても……。番宣で幸せエピソードを出しすぎて失敗したという見方もできますね。

カトリーヌ:でも、杏の相手役の宮沢氷魚は、実物を見たことがあるけどかっこよかったよ。父親は元「THE BOOM」のボーカルの宮沢和史氏。テレビだと、かっこよさが伝わりきれないのがもったいない!

山田:視聴者はドラマの役に俳優の実生活をどうしても重ねてしまうもの。深キョンが「ルパンの娘」みたいな役をやっても、痛々しさを感じさせないのは、彼女の私生活が実はあんまり見えないから。一方、石原さとみは、破局が直前に報じられて。レストランの男性スタッフ相手に勇ましいのはカラ元気なの?って思っちゃいました(苦笑)。

(構成/本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2019年8月30日号