松原:安倍さんの通算在任日数も吉田茂を超え、大叔父の佐藤栄作もまもなく抜き、安倍さんより長いのは明治時代の桂太郎だけになる。第1次安倍内閣が退陣したのが2007年9月。それから第2次安倍内閣が発足する12年12月まで、安倍さんは5年間、野党も経験し、強くなった。

御厨:野党を経験し、再登板するのは、祖父が予言し、狙っていたんですよ。そのとおりになった。

松原:ならば、ポスト安倍の首相候補は? 今、岸田文雄・自民党政調会長、菅義偉官房長官、石破さんの名前が挙がっています。

御厨:岸田さんはどうだろう。言うことが優等生でいい人だけど、リーダーの器としては疑問。だから、次の総理は岸田さんにやらせて、案の定、うまくいかなければ、「安倍さんを待ってました」となると考えているかもしれません。

松原:自分より年上で70歳の菅さんのほうが、安倍さんがもう一度、首相の座に返り咲きやすい気はしますけどね。

御厨:石破さんも総裁候補だと言われ続けてますが、立ち枯れしないでよく来たものだ。

松原:石破さんもあれだけ冷や飯食わされて要職からはずされたら、まわりから人がどんどんいなくなっちゃいます。

御厨:言えば言うほど唇寒しになっちゃう。石破さんは器量はあるんだけど、もったいない。

松原:岸田さんより少し若い河野太郎(外相)、片山さつき(地方創生担当相)、野田聖子(前総務相)、稲田朋美(元防衛相)さんらの世代は存在感がない。本来はこの年代で10人くらい総裁候補がいてもいい。その意味では、一番自民党を壊しているのは安倍さんですよね。

御厨:その横で一番、役に立っているのが麻生太郎さん。麻生さんはヒール役に徹しているから。何を言おうと、何があろうと絶対にクビにならない。だから失言は全部、彼が言うことになっているんじゃないですか。最近は新聞も大きく取り上げないんだよ。

松原:モリカケ問題で、担当官庁が公文書改ざんしても辞めなかったんだから、年金の報告書を受け取らなかったくらいでは辞めない。

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ
次のページ