御厨:それはね、安倍さんが守ろうと思ったら守れるということをみんなに示したんですよ。そうすることによって、自民党議員はやっぱり安倍さんでなけりゃと思うわけだ。とにかく盟友は守るというのは、自民党の中では効くんですよ。

松原:それを助長しているのが、だらしない野党。政権側に見透かされている。参院選前の国会でも2千万円年金問題で自民党に衆議院解散をチラつかされると、本当に解散したらどうしようと、腰が砕けて追及の動きが止まってしまった。

御厨:立憲民主党の枝野幸男代表も口では安倍政権はダメだとは言うけどね。

松原:安倍さんは「悪夢の民主党政権」というフレーズを繰り返して使いました。野党は抗議していたけど、逆に全く民主党時代を反省してないんだなという印象が強くなるんですよね。

御厨:自民党では昔、党人派と言われたおじいさんたちが国会を仕切っていたわけですよ。またかつて、社会党の左派がなぜ、あれだけ強かったかというと、暴露ネタを左派が仕込んで、それを官僚に知られずに国会の委員会かなんかでぶち上げて、ボッとスキャンダルに火をつけた。そういうドラマがいくつもあったが、今の野党はそれをやる力量がないから。

>>後編【国会通信簿】「存在感希薄」「下品」に採点不能も…れいわ新選組の成績は?へ続く

週刊朝日  2019年8月2日号