人工甘味料のアセスルファムK(カリウム)や、スクラロースの使用も疑問視されている。缶コーヒーやスポーツドリンクなどに入れられている。

「アセスルファムKを含むエサをイヌに食べさせた実験では、肝臓の機能悪化を示す指標であるGPTの数値が増加しました」(渡辺さん)

 とろみをつける増粘剤に使われるのが加工でん粉だ。11品目が添加物として認められているが、先のカラメル色素と同様にどの品目が使われているのかわからない。NPO法人「日本消費者連盟」共同代表で、科学ジャーナリストの天笠啓祐さんはこう語る。

「加工でん粉は化学薬品を加えた化学合成添加物です。11品目のうち2品目は、EUでは乳幼児向けの食品に使用することを禁止しています。ところが、日本では具体的な物質名を表記せず、『加工でん粉』と簡略化しています」

 食品表示法は、「原則としてすべての食品添加物を物質名で食品に表示する」と定めている。実際には抜け穴だらけで、香料や酸味料といった一括表示が認められている。消費者にとってはブラックボックスだ。前出の渡辺さんは、ほかにも消費者に不親切な表示があるという。

「キャリーオーバーといって、原材料に含まれる添加物は、条件によっては表示を免除されます。例えばせんべいの原材料は米としょうゆですが、しょうゆに保存料が含まれていても、『米、しょうゆ』と書けばいいのです」

 なんともわかりにくいが、少しでも安全な商品を選びたいものだ。消費者の買い物の基準が変われば、企業側の改善も期待できる。

 食品添加物と同じように注目されているのが「遺伝子組み換え」の表示問題だ。遺伝子組み換えによって効率的に生産できる作物が増えているが、健康への不安感は払拭(ふっしょく)されていない。消費者の関心も高く、「遺伝子組み換えでない」という表示を参考にしている人もいる。だが、安心はできない。前出の天笠さんが語る。

「例えば大豆の場合は、いまや米国産の9割以上が組み換え品種。栽培の段階で組み換え品種の花粉が飛んできたり、流通の過程で混ざったりして、もはや完全に除くのは無理です。これから基準が変わることで、少しでも混ざれば『遺伝子組み換えでない』という表示ができなくなります。組み換えているものとの区別がつかなくなり、かえって消費者の選択肢を奪うことが心配されます」

 食品添加物や遺伝子組み換え作物などの検証はいまも続く。これまで安全とされてきたものが、ある日、使用禁止になる可能性もある。

 健康はまず食事から。買い物をするときに表示をチェックし、自分で選択できるようにしたい。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2019年7月26日号