「亜硝酸Naは肉に含まれるアミンと結合してニトロソアミン類という発がん性物質になります。WHO(世界保健機関)の国際がん研究機関は15年に、ハムやソーセージなど加工肉を食べると大腸がんになるリスクが高まると発表しています」(渡辺さん)

 では、どういった商品を選ぶべきか。発色剤不使用の「無塩せき」のハムなどが売られている。健康志向もあって多くのメーカーや小売店が扱う。値段は一般的なものより少々高めだが、食品表示を見て商品を買えば、危険な添加物を避けることができる。

 亜硝酸Naは、タラコや辛子めんたいこなど塩蔵魚卵にも使われている。国立がん研究センターが、40~59歳の男性約2万人を対象に約10年間追跡調査したところ、タラコなど塩蔵魚卵を頻繁に食べている人ほど、胃がんの発生率が高いことがわかった。ほとんど食べない人のがん発生率を1とすると、週1~2日で1.58倍、週3~4日で2.18倍にも達した。渡辺さんが続ける。

「塩分が高いという理由のほかに、タラコやめんたいこは亜硝酸Naや着色料として赤102や赤106といったタール色素を使っていることも要因でしょう」

 タール色素は食品添加物として12品目の使用が認められているが、ラットなどの動物実験で発がん性の疑いが持たれているという。中でも赤2は米国では使用禁止になったが、日本では菓子などにいまも使われている。

 危険性が指摘されているのにいろんな添加物が使われ続けるのは、ほかに安価な代替品がないという企業側の都合がある。

 渡辺さんが「厄介な着色料」というのがカラメル色素。ハンバーグやインスタントラーメンのスープ、ソースなどに幅広く使われている。食欲をそそる褐色にするのが目的だ。カラメル色素にはI~IVの4種類あるが、IIIとIVには「4‐メチルイミダゾール」という発がん性物質が含まれている。

 問題なのは、食品表示には「カラメル色素」としか書かれないこと。どの種類を使っているのか表示を見てもわからない。企業側もIIIとIVを避けてほかの種類を使えば良さそうだが、IとIIは比較的値段が高いとされる。

「国が、表記は『カラメル色素』だけでいいと決めてしまいました。もともとカラメルはでん粉や糖類を加熱して作るので安全な添加物です。しかしIIIとIVはアンモニウム化合物を加えて製造され、その過程で発がん性物質が生成されると考えられています」(渡辺さん)

 自然由来の添加物といっても全てが安全ではない。アカネ色素は植物の根からできる着色料だが、動物実験で発がん性が認められ、04年に使用が禁止になっている。

 魚肉ソーセージやゼリーなどを着色するコチニール色素(カルミン酸色素ともいう)は、カイガラムシという昆虫から抽出する。比較的安全との見方もあるが、ラットにコチニール色素を食べさせた実験で、中性脂肪やコレステロールが増えたという。

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