1月から自筆証書遺言の財産目録はパソコンでも作成できるようになった。来年7月10日からは、自筆証書遺言を全国の法務局で保管する制度も始まる。
使い勝手が良くなる自筆証書遺言の書き方について、具体的に説明していく。
遺言を用意する人は増えているが、まだ少数派だ。
法務省によると自分で書く「自筆証書遺言」は、2017年に1万7394件。日本公証人連合会によると「公正証書遺言」は、18年に約11万件。ともに増加傾向だが、日本全体の年間死亡者でみると、1割程度しか遺言を残していないことになる。
専門家は、遺産分割を巡って家族が対立する「争続」を避けるためには、遺言が有効だという。
「財産の多い少ないにかかわらず、遺産を分ける段階でうまくいかなくなるケースが増えています。争続に発展する大きな原因の一つは、故人の意思が見えないこと。財産の分け方についてメッセージを残しておくと、余計な争いには発展しないものです」(夢相続の曽根恵子代表)
遺言には通常3種類ある。被相続人(故人)本人が自分で書く自筆証書遺言、2人以上の証人のもとで公証人に確認してもらう秘密証書遺言、口述内容をもとに公証人が作成する公正証書遺言だ。
このうち、手軽で費用もかからないのが自筆証書遺言。紙とペンと印鑑さえあればいつでも書ける。
民法改正で使い勝手がよくなる。全部手書きするのがルールだったが、1月から財産目録をパソコンで作れるようになった。通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などを添付することもできる。
自分で保管しておくと紛失や改ざんの恐れもあったが、全国の法務局で保管する制度も始まる。保管された遺言は家庭裁判所のチェックを受ける「検認」もいらなくなり、オンラインで遺言の有無を検索できる。
それでは具体的な書き方を見ていこう。まずは法定相続人は誰か、どれだけの財産があるかなどをノートに整理する。法定相続人は民法で定められている。配偶者は必ず相続人になり、次いで子、子が亡くなっている場合は孫ら直系卑属が第1順位。子や孫がいない場合は、両親などの直系尊属が第2順位となる。
財産は預貯金や不動産に加え、車や美術品など資産価値のありそうなものは全て含める。不動産は法務局で不動産登記簿謄本を取っておくとよい。