はい。そこがポイントです。ねたみ、そねみ満載で、ひねくれながら、それでも愛されキャラをキープする山里は、どんな魔法で相方を、そして女優をも引きつけたのだろう。

 その魅力について語るのは、ここ数年、大阪で開かれるイベントで定期的に山里と会い、個人的にも親交のある芸能ジャーナリストの中西正男さんだ。

「別のコンビで大阪で活躍していたころから言葉のセンスがよくて、必ず売れると言われていた逸材。相手の心をつかむ細やかな言葉遣いも愛されるポイントでしょう」

 たしかに、主役でありながら、結婚会見の仕切りは鮮やかだった。フォトセッションでは「キスして」「手でハートを作って」など、ポーズのむちゃ振りが相次いだが、ひとつひとつ笑いに変えてお断り。

「後輩に指導するときも、絶対に否定から入らない。『わかるわかる』と相手をまず肯定してから『ちなみにおれはそういうとき……』とアドバイスする。彼と話していると誰でも楽しく盛り上がれるのは、抜群のコミュニケーション術があるからでしょうね」(中西さん)

 前述の著書の担当編集者も言う。

「自分の弱さや嫌な部分をさらけ出すので、自身の中の山ちゃん的なものに気づき、共感する読者も多い」

「天才をあきらめた」芸人は、愛されるひねくれ者として芸を磨き、しずちゃんというキューピッドを引き寄せた。丁寧に、軽妙に、心をつかんでいく。そんな努力を重ねれば、あなたの“しずちゃん”が見つかるはずだ。いつになるのか、わかんないけど。(福光恵)

【会見でのしずちゃん語録】
●(ボクシングのグローブで、山里を打とうとしながら)
オマエか。ワシの大事な親友を奪ったのは。オマエか!

●(この結婚で「優ちゃんに面倒見てもらえる」と喜んでいたと山里に暴露され)
そうですね。優ちゃんにスカーフをアイロンかけてもらったりとかしてほしいなと。

●(蒼井が山里の容姿について「メガネを変えるとかっこよくなったりする」と発言すると)
あ、優ちゃんが目が悪いから、メガネを変えたら(かっこよく見えたのね?)。

●(山里が蒼井の料理自慢をするのを聞いて)
ぜんぜん、おもんない。

週刊朝日  2019年6月21日号