セカンドオピニオンで患者や家族が気になるのは、主治医との関係がどのように変わるのかだろう。

 アンケートでは、患者に「セカンドオピニオンを受けたい」と言われたときの心証を聞いた。すると、187人(60%)が「何とも思わない」と回答し、「歓迎する」の109人(35%)と合わせると、ほとんどの医師がセカンドオピニオンに対し、ネガティブな印象を持っていなかった。

「主治医との関係は悪くなるか」という質問にも、「悪くならない」と回答したのは244人(78%)で、「悪くなる」と答えた39人(12%)と比べて圧倒的に多かった。

 理由については、「患者さんの権利の一つ」(40代男性・眼科)、「決めるのは患者自身」(50代男性・一般外科)、「特に難治性の疾患は多くの意見を求めたほうがいい」(60代男性・一般内科)など、当然のこととして受け止めている医師や、「患者さんが納得して治療を受けてくれたほうが、信頼関係が深まる」(40代女性・腎臓内科/透析)、「医師と患者が同じ方向を向いて治療するのがベスト」(30代女性・呼吸器外科)など、よりいい関係が築けると考える医師もいた。

 興味深いのは、具体的な状況を尋ねると、「肺がんの確定診断後に、こちらからお勧めした」(30代男性・呼吸器内科)、「治療に不安そうだった場合、セカンドオピニオンを勧める」(40代男性・精神科)、「がんで手術を予定されている患者さん全員に、セカンドオピニオンの話をします」(50代男性・一般外科)など、医師側からセカンドオピニオンを提案するケースも見られたこと。主治医が気分を害するというのは患者や家族の杞憂のようだ。

 その一方で、「悪くなる」と答えた医師も。「主治医にもプライドがある」(50代男性・アレルギー科)、「全面的に信頼してくれている患者よりも当然、悪くなるはず」(30代男性・神経内科)など、本音が見え隠れする。

 また、「話の仕方によっては、不快となる場合があるかもしれない」(60代男性・一般内科)、「患者の態度による。横柄な態度で言われたら誰でも腹が立つ」(30代男性・放射線科)という意見も。セカンドオピニオンは患者の権利といえども、医師も人間。コミュニケーションのとり方によっては、関係がこじれてしまう可能性はあるようだ。

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