これまた、安倍政権による天皇陛下の政治利用に他ならない。そして、その目論見に、まんまと乗せられた野党の読みの甘さにはあきれるばかりだ。この行事が統一地方選と完全に重なることは初めからわかっていたのに、立憲民主も国民民主もこの時期に開催することに反対しなかったのだ。気づいてみたら、統一地方選への国民の関心をそらすための格好のイベントになってしまったのだが、自分たちが片棒を担いでいるため、全くこれを批判できない。マスコミも、与野党共同の行事だからと、「安心して」選挙中にもかかわらず、堂々とこの祭典を生中継までして盛り上げた。もちろん、「政治利用」という批判をした大手メディアはない。

 今回のこの祭典に、天皇、皇后両陛下は出席されなかった。この日は、ご成婚記念日に当たり、皇族による祝賀の会があったからだということだが、時間は重なっていなかった。祭典主催者は、当初からこの日程を知っていたので、初めからお招きしなかったと言っているようだが、それなら、どうしてそんな日を選んだのかが問われる。誕生パーティーを開くのに、本人を招待すらしないなんてことは普通はしないものだ。
繰り返して言うが、一般市民が勝手に騒ぐのは全く自由だ。しかし、総理がそのバカ騒ぎの先頭に立ち、選挙に利用するというのは、全く別次元の問題だ。

 和書(日本の古典)からの引用にこだわり、「和」を強調したのは、安倍総理支持層の右翼系の人々に配慮したということだが、せっかくの「和」の演出も、本来の「和」とはかけ離れたから騒ぎで台無しになってしまった。天皇陛下のお気持ちを最後まで踏みにじる安倍総理という印象を持ったのは、私だけだろうか。とても恥ずかしく、残念で、悲しい気持ちになってしまった。

■安倍総理の天皇陛下政治利用はまだまだ続く

 そして、もう一つ気になることがある。この天皇陛下御即位をめぐる政治利用はこれで終わらないことだ。5月1日には、先の祭典を主催した団体は、名称を「天皇陛下御即位奉祝委員会」に変更することになっている。つまり、新天皇の御即位をお祝いする行事を主催するのだ。その日程は決まっていないが、現時点では、「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」(仮称)として、令和元年10~11月に皇居前広場(国民公園)で開催されることになっている。

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新天皇の最初の国賓はトランプ