本来は、決して政治利用など許されない新元号の決定を、自らの政治ショーとしたうえに選挙に利用した安倍総理。9年の任期を全うしても、何一つレガシーを残せそうもないことに焦ったのか。単に生来の目立ちたがり屋なのか。何とも後味の悪い新元号発表であった。

■「和」を重んじたというけれど「Show Off」(見せびらかし)
 
「悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく」と安倍総理は会見で述べた。しかし、まるで改元が自分の手柄であるかのごとき言動をしてはしゃぐ安倍総理が、「日本の国柄」を引き継ぐと言う姿には、思わず、「違うだろう」と言いたくなる。安倍総理には、日本の美徳のかけらもないのだろうか。

 出しゃばり、目立ちたがり、ひけらかしたがり。そんな言葉ばかりが思い浮かぶ。「和」の文化とは対極にあるアメリカ人のプレゼンかという印象だ。いや、そう言うと、アメリカ人に失礼だろう。おそらくアメリカ人から見ても「Show Off」(見せびらかす)という印象なのではないだろうか。日本人の美徳「謙譲」の精神など微塵も感じられなかった。

 安倍総理は、「花を大きく咲かせる」とも言ったが、そんな派手好みの言葉は、日本の文化とは無縁だ。「和」を強調したいのなら、「清楚で凛とした花を咲かせる」というような言葉がふさわしかった。

 しかも、花を咲かせるには、種をまき、芽を育まなければならない。昭和の遺産を食い潰し、国家を借金まみれにして、将来への布石も何も打てなかった人が、大輪の花を咲かせたいと……。どの口が言うのかと、突っ込みたくなる瞬間だった。

 そして、こういう人が権力を握ることは、非常に恐ろしいことだという思いに駆られる。自分のために、権力を好きなように使う。そこには全く限界線がない。恥も外聞もなく、何のためらいもないのだ。どうしてこんなことができるのかと考える。こういうことができるのは、国民も同程度だと馬鹿にしているからではないのか。そして、このフィーバーに乗るに違いないと見切られているマスコミも、本当に情けないとしか言いようがない。

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