【奈良】


 新旧の名門校が、全国トップクラスの合格実績をあげている。

 1926年に東大寺の僧侶らが、勤労青少年のために境内に夜間学校を創設したのが始まりの東大寺学園は、88年に東大合格者数トップ10に入って以降、ほぼ毎年トップ30に入っている伝統校だ。

 一方、86年創立の西大和学園は生徒に補習や勉強合宿などの猛勉強を課し、90年に初めて東大に合格者を出した。以降、年々合格実績を上げている。

 2019年の合格者数は、東大寺学園が東大27人、京大68人、国公立大医学部54人。西大和学園は東大42人、京大34人、国公立大医学部37人。東大寺学園の京大合格者数は全国2位だ。

 東大寺学園の清水優教頭は、西大和学園をライバル視していないという。

「本校は自由でおおらかな校風で、制服もありません。私学には建学の精神があり、校風の違いが一番大切だと考えているため、他校をライバル視して合格実績を競うというような風土はありません。進路指導の基本姿勢として大切にしているのは、『特定の大学、学部への誘導をしてはならない』ということです」

 19年の現役の志望者数は東大が約40人、京大が約90人、医学部は約50人だった。

 西大和学園は、15年に京大に81人が合格し、合格者数が単独首位となった。同年の東大合格者数は28人だったが、翌年以降は30人を超え、19年は最多の42人を記録した。東大志望の生徒が増えた理由を中岡義久校長はこう分析する。

「科学技術の発展など激変する未来に備えて、2年間リベラルアーツを学んで視野を広げ、3年からの進学先を選べる東大の進学振り分け制度に魅力を感じる生徒が増えたのだと思います」

 校内で東大教養学部の「東大Live講義」を受講できるほか、高1の夏には東大のオープンキャンパスに参加したり、卒業生が勤める先進的な企業を訪問したり、起業家とのワークショップをしたりする2泊3日の「東京グローバルサイエンス」を実施している。

 両校ともに、知的好奇心を刺激する行事や体験学習などが多い。

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