【福岡】


 学区制採用で、成績が優秀な生徒が分散している。

 福岡市内にある県立トップ校の修猷館は、1784年に黒田藩の藩校として開館した歴史を持つ伝統校。同じ市内にあり、学区が異なる福岡、筑紫丘は良きライバルだ。

 2019年の九州大の合格者数の全国順位は修猷館が126人で1位、筑紫丘が110人で2位、福岡が102人で3位だ。九州は医学部志望者が多く、修猷館は02年、福岡は15年から「医進クラス」を設置した。

 1974年までは修猷館、福岡、小倉など県立高校が東大合格者数の県トップ校だったが、75年に久留米大附設が30人の合格者を出し、東大合格者数のトップ校になった。

「高校は50年に開設しましたが、69年に中学が新設され、75年は中高一貫教育を受けた1期生が受験をした年です」(小林さん)

 その久留米大附設が今年50人もの東大合格者を出し、福岡県の高校としては初の全国トップ10入りを果たした。大幅増のキーワードは75年と同じく「1期生」だ。同校の名和長泰教頭が説明する。

「今春の卒業生は中学が共学化された1期生で、50人の合格者のうち11人が女子です」

 共学校は男女の定員を設けているところが多いが、久留米大附設は男女枠がなく、入試の成績順だ。

「女子中学生の特徴や課題を分析・共有し、従来以上に指導の改善を積み重ねた6年間でした。『女子会』と称する補講を実施したこともあります」(名和教頭)

 毎年、約3分の1の生徒が医学部を目指しており、19年は国公立大医学部にも56人が合格した。

 合格実績を伸ばしている高校は、生徒同士で教え合ったり、教員が他校の教員と交流して情報交換していたりする。「勝った、負けた」とライバル視していた時代もあるが、今は「団体戦」であり、「同志」として切磋琢磨(せっさたくま)する時代なのかもしれない。(庄村敦子)

週刊朝日  2019年4月12日号より抜粋