そもそも、足元では景気の減速懸念が強まっている。

 日本銀行は1日、3月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)を発表した。代表的な指標となる大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス12で、前回の昨年12月調査から7ポイント下がった。2四半期ぶりの悪化で、その幅は2012年12月調査以来、6年3カ月ぶりの大きさ。

 米国と中国の「貿易戦争」や、英国の欧州連合(EU)離脱問題などが、世界経済の足を引っ張る。企業は設備投資に慎重になり、大きな景気循環の先行きは下降トレンドだ。

 10月には消費増税が予定され、ただでさえ消費の低迷が予想されている。新元号スタートから景気が急に悪化したとなれば、夏の参院選に向けて安倍政権は対応を迫られる。消費増税の延期や、さらなる景気対策が議論されそうだ。(本誌・多田敏男)

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