「今は、ファンがアイドルに電話やLINEの連絡先を割と簡単に渡すことができて、アイドル側がその気になればいつでもつながれる、接触できるという状態になってしまいました。そのファンと仲良くなれば、CDやグッズを沢山購入してもらうことができるかもしれません。総選挙になれば、投票券付きのCDを大量購入してもらい、グループ内でのポジションだって上がります。場合によっては、センターだって取れるかもしれません。そういうファンは彼女たちにとっていわゆる“太客”です。キャバクラの女の子たちが売り上げを伸ばそうとするのと同じ発想で、“太客”が離れないように、好きでなくてもいい顔して、要求をのんでしまうこともあるのでは。運営側がグループ内の競争を煽り、人気争いが激化すれば、お金を使ってくれるそういうファンを多くつかまえたいという心理になっても不思議じゃないです。“AKB商法”と“AKBシステム”自体がほころび始めているんじゃないでしょうか」

 今後についてはこういう。

「第三者委員会でも何でもいいんですけど、徹底的に調べて、ファンと私的交流を持っていたメンバーは解雇すればいいんですよ。アイドルとしての自覚も徹底させなければいけないと思います。そうすれば示しもつく。それをやらないのは、何かあるのかなと勘ぐってしまいます。犯人が釈放されたのも不思議ですし。深い闇を感じますね。これで、山口さんが脱退しなくちゃいけなくなるとしたら、理不尽極まりない。AKSの松村取締役と彼女と秋元さんの3人で記者会見を開いて納得できる説明をしてもらいたい。そうすればファンの理解を得られるのではないでしょうか」(佐々木氏)

 山口さんとNGTの前途について、碓井教授はこう見る。

「NGTは解散することだってあり得る。やっていけなくなる可能性もあります。山口さんは、いつ辞めると言い出すのか、ファンも心配してると思うけど、メンバーたちの中に疑惑の人たちもいるのに、復帰して今まで通り、ステージに立てるものなのか。会見中にツイッターで反撃したのは、納得できていないからなわけで、彼女自身の中でのある種の納得がなければ進むことも引くこともできないでしょう。何を信じていいかわからない状況だから。彼女だって、辞めるなら納得して辞めたいでしょうしね」(碓井教授)

 山口さんは“卒業”という名目で、脱退させられるのか。復帰への道があるのか。類似のアイドルグループも増えた。事件の解決が与える影響は大きい。(本誌/上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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