最新のトイレの節水効果はかなり高い。従来品と比べて年間1万5千円もおトクという試算も(TOTO提供) (週刊朝日2019年4月5日号より)
最新のトイレの節水効果はかなり高い。従来品と比べて年間1万5千円もおトクという試算も(TOTO提供) (週刊朝日2019年4月5日号より)
(お金と健康の)元を取るリフォーム一覧表 (週刊朝日2019年4月5日号より)
(お金と健康の)元を取るリフォーム一覧表 (週刊朝日2019年4月5日号より)

 住まいは暮らしを支える器──。住生活コンサルタントの大久保恭子さんはこう話す。

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「子どもも巣立ち、夫婦二人暮らし。しかし、2階建ての大きな家に暮らし、ほとんど使用しない2階には、洗濯物を干すときに上がるだけ。体は衰え、重いものを運ぶのも大変。それなのにこれまでと同じ住まい。こういう人々は多いのです」

 家族は減っても電気やガス代は変わらず、エネルギーや体力の無駄遣い。

 いっそのこと、子どもが独立した後は、床面積を減らす「減築」をして、小さく暮らす。使わないものは床下などに収納し、1階だけを生活空間にすれば、体への負担もなくなる。

 ただリフォームしてもあと何年、住めるのだろうという不安も付きまとう。

 リフォーム業界大手の「三井不動産リフォーム」によると、「80代でも遅くありません。その年代になってもできることは身近にあるのです」。

 リフォームのメリットといえば、省エネで、日々の光熱費を安くさせられることだ。昔ながらの古い一軒家は、断熱性と気密性が低く、窓からは冷気が入り、壁や窓が結露する。部屋ごとの温度差も大きい。隙間風が多く、エアコンの利きも悪い。

「日本には、住宅が5千万戸あるといわれていますが、残念ながら断熱性能の低い家がほとんどです。現行の省エネ基準相当の断熱性能住宅はわずか8%です。平成4年基準は20%。昭和55年基準は37%と、昔の基準であればあるほど省エネ住宅とはほど遠く、昭和55年基準前に建てられた住宅のほとんどが無断熱住宅といえます」

 こう話すのは、国土交通省、経済産業省、環境省とともに省エネ住宅推進活動をする芝浦工業大学の秋元孝之(たかし)教授だ。

 たとえば築40年の一軒家ならば、昭和55年の省エネ基準前に建てられているため無断熱住宅となる。

 最新の住宅であればあるほど省エネであり、光熱費が安く済むということは明らかだ。しかし、既存住宅でも、「リフォーム」である程度の効果が期待できると、秋元教授はアドバイスする。

 まず、室内の熱を逃がさないように、外壁や屋根、天井、床などに一定量の断熱材を取り付けることだ。既存窓の室内側には樹脂サッシの内窓を追加で取り付けて「二重窓」にしたり、窓自体のサッシとガラスを同時に取り換える。ガラスもこれまで一般的だった「単板」タイプから「複層ガラス」にする、などだ。これらの工夫で、冬に室内から「逃げる」熱を、夏に外から「入る」熱を防ぐことができる。

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