「学校でも家でも娘は暴れ、しかも援交したお金でゲーセンに入りびたり。加えて妻が娘の責任を私一人に押し付けているんです」
その娘だが、家事を手抜きし、ネットで小遣い稼ぎをして好き勝手に生きている母親を見て、「自分も好きにやる」と開き直る。
「離婚すれば、娘は父親に捨てられたと自暴自棄になって、ますますひどくなるかもしれません。娘がまともになるまで、そばにいて見守ってあげたいです」
年収1700万円のエリート証券マンは、妻と別れたいが娘のために離婚できないつらさに耐えている。
前出の「離婚110番」の澁川氏は「子供のことを心配し、世間体が悪いことを理由に、妻の浮気や暴言に耐えるエリート男性が多い」と、離婚を選択できない男たちの実情を語る。
「知らない間に精神的にボロボロになった妻や、非行に走る娘を止めようとしない妻に共通するのは、夫婦間のコミュニケーションが長い間ないことです」
仕事を優先するあまり、家庭や子供のことを妻に任せきりにしたツケがまわってきたのだと、澁川氏は指摘する。
「せめて1週間に1度でもいいから一緒に買い物に出かけ、スーパーでカートを押しながら『最近どうだい』と子供たちの様子を尋ねたり、妻にねぎらいの言葉をかけたりするなどの気遣いが必要です」
働く女性が増加しているが、まだ社会で働きにくい状況にある。家事や育児の面で妻をサポートすることが夫婦円満の秘訣(ひけつ)なのだ。(作家・夏目かをる)
※週刊朝日 2019年3月22日号より抜粋