草なぎ剛(くさなぎ・つよし)/1974年、埼玉県生まれ。91年CDデビュー。出演作は、映画「黄泉がえり」「日本沈没」「あなたへ」「クソ野郎と美しき世界」、テレビドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」「任侠ヘルパー」など多数。2017年9月にオフィシャルファンサイト「新しい地図」を立ち上げた(ヘアメイク・荒川英亮、スタイリスト・黒澤彰乃、撮影・加藤夏子/写真部)
草なぎ剛(くさなぎ・つよし)/1974年、埼玉県生まれ。91年CDデビュー。出演作は、映画「黄泉がえり」「日本沈没」「あなたへ」「クソ野郎と美しき世界」、テレビドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」「任侠ヘルパー」など多数。2017年9月にオフィシャルファンサイト「新しい地図」を立ち上げた(ヘアメイク・荒川英亮、スタイリスト・黒澤彰乃、撮影・加藤夏子/写真部)
草なぎ剛(右)と鶴岡慧子(ヘアメイク・荒川英亮、スタイリスト・黒澤彰乃、撮影・加藤夏子/写真部)
草なぎ剛(右)と鶴岡慧子(ヘアメイク・荒川英亮、スタイリスト・黒澤彰乃、撮影・加藤夏子/写真部)
鶴岡慧子(つるおか・けいこ)/1988年、長野県生まれ。立教大学在学中に映画を撮り始め、卒業制作として作った初の長編監督作品「くじらのまち」がPFFアワード2012のグランプリ&ジェムストーン賞に。長編2作目の「はつ恋」はバンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞にノミネートされた(ヘアメイク・荒川英亮、スタイリスト・黒澤彰乃、撮影・加藤夏子/写真部)
鶴岡慧子(つるおか・けいこ)/1988年、長野県生まれ。立教大学在学中に映画を撮り始め、卒業制作として作った初の長編監督作品「くじらのまち」がPFFアワード2012のグランプリ&ジェムストーン賞に。長編2作目の「はつ恋」はバンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞にノミネートされた(ヘアメイク・荒川英亮、スタイリスト・黒澤彰乃、撮影・加藤夏子/写真部)

 草なぎ剛さんは、業界で“最も役になりきる”と評される演技派。心機一転して挑んだ役柄は「女遊びの絶えないダメおやじ」役だった。15日に公開される出演映画「まく子」をめぐり、鶴岡慧子監督と語り合った。

【草なぎさんと鶴岡監督のツーショット写真はこちら】

*  *  *

──「まく子」では、草なぎさんが今までのイメージとかなり違う役柄だったので驚きました。小学5年の主人公、サトシの父親・光一の役。昭和だったら火野正平さんが演じそうな、女ったらしでだらしない男です。監督は、なぜ草なぎさんを起用したのですか。

鶴岡慧子(以下、鶴岡):子どもが主役ですが、周囲にバシッと柱になるような大人が必要だと思ったんです。主役の父である光一がそれだろう、と。無類の女好きではありますが、すごくチャーミングな人。

──愛人をつくっても憎めない人ですよね。

鶴岡:みんなに愛される“人たらし”というか、奥さんがいても他の女の人にコロコロといってしまう。不器用なところも、ちょっとかわいく見えるような人。私自身が光一というキャラクターが好きだったので、「当たって砕けろ」みたいな気持ちで草なぎさんにお願いしました。

──草なぎさんは、ダメおやじの役をすんなり受け入れられたのですか。

草なぎ剛(以下、草なぎ):嫌も何もないですよ。仕事があるのかどうか、けっこう真剣に考えていたころにいただいたお話だったんです。

──そんなことはないでしょう。

草なぎ:いや、本当にそうなんです。本当にいいタイミングだったんですよ。新しい道をちょっと歩き始めて、「新しい地図」を広げたばかりだったので。ゼロからのスタートで不安もあり、「どんな役でもいい、仕事をしなければいけない」と強く決めていたころに最初に声をかけていただいて。鶴岡監督がすごく面白い方だとうかがってもいたので、これはもう、すぐやります、と。

──一歩間違えたら、女性に嫌われる役。そういう不安はなかったですか。

草なぎ:いや、全然。でも、そういう役のほうがやりがいがあるっていうか、やったことのない役でよかったです。「まく子」は少年と少女の甘ずっぱさを感じる作品です。僕も昔、「大人になりたくない」みたいなことをちょっと思っていたんですよ。自分の役も楽しそうだし、作品自体も「何だこれ。不思議な感じ」と思って。監督、これ、本をそのまま映画にしたんですか?

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