■透析以外の検査、治療もしっかりやってくれる
「患者のからだの異常を回診や検査で、こまめにチェックしてくれる病院が理想」というのは土谷医師だ。
「例えば血液透析を受ける患者さんは尿が出ないために、からだに余分な水分がたまり、心臓がむくんでしまうことがあります。この兆候をチェックするためには心臓が大きくなっていないかを胸部X線検査で確認することが大事。1~2カ月に1度、おこなうのが理想ですが、病院によっては間隔が空いてしまうこともあります」
薬価の高い薬にも同じことがいえる。
「腎性貧血の治療薬であるエリスロポエチンなどを患者さんの病状にあわせ、適切に処方してくれるかどうかも大事なチェックポイントです」(土谷医師)
酒井医師は看護師が中心となっておこなう「腎代替療法選択外来」があることがポイントになるという。
「治療法の解説を約1時間かけておこなう外来で、全国に普及しつつあります。家族背景や仕事、収入や哲学、ライフスタイルなどを相談しながら、患者さんに合った方法を考えるお手伝いをします。外来の有無は病院に直接、問い合わせることをおすすめします」
人工透析には週に1回、血液透析に通い、ほかの日は腹膜透析を組み合わせる「ハイブリッド療法」もある。
また、数は少ないが血液透析を在宅でおこなう在宅血液透析を導入している病院もある。
「患者さんの背景はさまざまですので、こうした治療法も含め、できるだけ選択肢を多く持っている病院が理想です。そして可能であれば自宅から近い病院を選ぶのが安心だと思います」(酒井医師)
高齢者が腹膜透析を導入する場合は介護サポートなどについても確認しておくといい。最近は在宅の患者を遠隔操作で見守る仕組みなどもあり、訪問診療や訪問看護を利用することで一人暮らしでも腹膜透析ができるようになってきている。
◯東京女子医科大学病院血液浄化療法科教授
土谷 健医師
◯東邦大学医療センター大森病院腎センター教授
酒井 謙医師
(文/狩生聖子)
※週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2019」から