緑内障のしくみ(イラスト/今崎和広)
緑内障のしくみ(イラスト/今崎和広)

 緑内障のタイプには開放隅角、閉塞隅角がある。後者は日本人では少数派だが、急性発作を起こすと早急に治療を受けないと視覚障害や失明に進みやすい。薬物療法は効果が少なく、外科的な治療が中心だ。2017年5月に改訂された「緑内障診療ガイドライン」では、閉塞隅角緑内障に対する治療法の一つとして、白内障の手術である「水晶体摘出」が明記された。

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 眼の毛様体でつくられた房水という液体は、眼の中を循環した後、房水の出口となる隅角から眼の外に排出され静脈に流れていく。房水がつくられすぎたり、排出が十分でなくなったりすると、眼の中に房水が増えて眼球の内側から外側に向かってかかる圧力が増え、眼圧が高まる。すると強い圧力で、網膜にある視神経が傷つき萎縮する。いったん障害された視神経は二度と回復することはなく、やがて視野欠損などの視覚障害が出てくる。これが緑内障である。

 診断のポイントになる視神経の状態について、東邦大学医療センター大橋病院眼科教授の富田剛司医師が解説する。

「視力検査や眼圧検査に加え、視神経の状態は主に、眼底検査で視神経乳頭という部位を調べます。ここのくぼみ(陥凹)が拡大していると、視神経の萎縮などが進んでいることになり、視野検査などで、萎縮の進み方に見合った視野の欠損などが確認できれば緑内障と診断します」

 視神経乳頭のくぼみ具合や神経線維の状態は従来、医師の観察で評価されてきたが、現在は機器で計測できるようになった。この機器のしくみを、東京慈恵会医科大学病院眼科主任教授の中野匡医師が紹介する。

「光干渉断層計(OCT)という三次元眼底画像解析装置です。眼底検査などはいわば平面画像での検査ですが、OCTでは各部位を立体的に観察することができ、網膜の断層構造までわかるのです。その結果、視神経乳頭のくぼみ方や神経線維の厚み(萎縮の進み方)を数値化でき、的確な診断につながっています」

 その後の隅角検査で、隅角が閉じているか、狭くなっていることが確認されれば閉塞隅角緑内障である。

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治療の基本は「眼圧を下げること」