「劇団の広報戦略が功を奏しテレビで取り上げられたことなどで、『一度見てみたい』という人がすごい勢いで増えました。いずれは沈静化するとみられていたのですが、5年たった今もその兆しはありません。エンタメ業界でタカラヅカの一人勝ちの状況が続いています」

 もともとタカラヅカファンのボリュームゾーンは40代から60、70代の女性だが、中本さんは、次のように指摘する。

「タカラヅカといえば1970年代の『ベルサイユのばら』の大ヒットが有名ですが、当時ファンになった女子高生やその周辺の世代がボリュームゾーンとしっかり重なっています」

 出た! 昨年来、記者が注目している「大人女子」たちだ。

 子育てを終えて自由になった彼女たちが、旅行やファッションなどさまざまな分野で旺盛な消費活動をしている様子は18年11月16日号などで報じた。その元気な大人女子たちが新規に、あるいは再び観劇を始めるなどで、タカラヅカファンの世界に進出している可能性がある。

 東京都八王子市のB子さん(50)は、復活組の一人だ。

「京都の女子大に通っているときにファンになりました。平成のベルばらは全部見ています。卒業してからは見なくなったのですが、下の子の世話が一段落したころに誘われて復活しました」

 11年に、ママ友の姪がタカラヅカの「生徒」(歌劇団では団員のことを生徒という)なので、「ぜひ見てほしい」とすすめられたのがきっかけだった。年に数回、行く程度だったが、やがてその生徒に私設のファンクラブ(タカラヅカには公式のファンクラブは存在しない)ができ、自分もその一員になってから火がついた。

 15年11作品20回、16年14作品30回、17年19作品52回、18年21作品63回。完全な右肩上がりだ。

 タカラヅカには冒頭の雪組のほかに、花、月、星、宙(そら)と全部で五つの組があり、それぞれの組が順番に公演していくので、ほぼ年中、公演がある。

「どの組のも最低、数回は見ます。でも、私がファンの生徒さんは宙組なので、宙組の公演は集中的に見ますね。昨年暮れの東京が宙組だったのですが、同じ公演を10回見に行きました。年間に100万円ほど使っていますね」

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