いくらオリンピックで国威発揚を狙う安倍政権がなんでもありの政権だといっても、そのやり方が国際的に通用するのかしら?

 この件に関し、「これはゴーン氏を逮捕したことに対する報復だ」とかいっている人がいるみたいだ。テレビにもよく出ている竹田さんの息子は、「そういうの(報復)って、どちらかというと民度の低い国がやることかなと思っていた。(中略)あまりにも民度が低い」とまでテレビで発言したそうだ。

 そうか? 逆じゃないの? フランスから(ベルギーにも派生)黄色いベスト運動が広がっている。発端は燃料税増税への抗議。車両には、事故のときに身につけるために黄色いベストの備え付けが義務づけられているから、ドライバーの象徴として黄色いベストを着て、今の政府に抗議する運動だ。

 彼らは、金持ちばかりを優遇し、中・低所得者からは搾取しか考えない今の政権に怒っている。それって、オリンピックについてもおなじことがいえないか?

 ほんのわずかな人々の儲けのために、たくさんの人が馬鹿をみる祭典になってやしないか? オリンピックは、もはや我々のものじゃない。終わりのはじまりの出来事なのかも。

週刊朝日  2019年2月1日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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