デビュー25周年を迎えた2016年にはベスト盤『Naked & Sweet』を発表。この初回限定盤には、94年の日本武道館公演の最中に泣き崩れてステージを中断し、怒りをぶちまけた姿をとらえた映像特典がつき、話題になった。

 音楽をやることが日常で、音楽をやっていないと日常のバランスが取れないという彼女は、精力的に音楽制作に取り組んできた。

 本作のアルバム・タイトル『Baby Bump』には、妊婦のおなかのふくらみという意味もある。Charaは、モデルや女優をしているSUMIRE(菫)、音楽活動をしているHIMI(緋美)に続く3番目の子が欲しいと願っていた。タイトルには、音楽との間にできた子どもという意味合いも込めたという。

 アルバムの幕開けは、アレンジャーのGakushiにサウンド・プロデュースを委ねた「Pink Cadillac」。P―Funkをはじめ、90年代のファンク・サウンドを下敷きに、トーク・ボックスもフィーチャーした豪快でワイルドなファンク・サウンド。それとは対照的な、ウィスパー・ヴォイスによるラップ風のヴォーカルを絡めたのが聴きどころ、狙いどころだ。ゴージャスでアメリカン・リッチのシンボルとも言える“ピンクのキャデラック”への憧れを込めている。

「Chocolate Wrapping Paper」は、ギターでも参加のTAKUとの共作。マルチ・プレーヤーのTENDRE(河原太朗のソロ・プロジェクト)に制作を委ねた。ソリッドなベースやキーボードをバックに、“チョコレートの銀紙みたいに 剥がれちゃうの?”と思いつくままの言葉を歌詞にした。Charaの奔放なリリック・センス、年下の彼を見守る甘いヴォーカルが光る。

 表題曲の「Baby Bump」は大阪のSeihoがトラックを制作。英語詞はレイ・マストロジョバンニ。アンビ・テクノ風の軽快でポップなサウンドだ。

「愛のヘブン」はCHARAが22歳頃に書いたという。CHARAがゲスト参加したこともあるLUCKY TAPESの高橋海がサウンド制作。ポップなサウンドと甘い歌声にコーラスが絡む。

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