「ジャズのスタンダードを作るぐらいの志で作りました。これが僕のI.D.、僕なりのジャズなのかな、と」

 ニューヨークでの日課は、毎日の犬の散歩だ。日本から連れていったミニチュアダックスフントのぴーす(雌)は、いつもに恋をする。

「片思いしていたハンサムな“レオン”という名前の猫が突然いなくなって、しばらくして、ボロボロの姿になって近くの公園で見つかった。ぴーちゃんは、その思わせぶりな仕草ですぐレオンだと気づいたんです。再会を喜んだのも束の間、またレオンは姿を消して、ぴーちゃんは意気消沈(笑)。一目惚れしたマンションの前を通ると、彼を見初めた階段を恨めしそうに眺めています。本当に、猫のあの美しさは罪だね(笑)」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2018年12月28日号