室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 作家・室井佑月氏は、森友問題の疑惑に対して沈黙を貫く安倍昭恵夫人に、問いかける。

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 ネットでニュースをザッピングしていたら、安倍首相が昭恵夫人と仲良く手をつなぎ、飛行機のタラップを降りてくる写真が出てきた。

 安倍さんが問題山積みの国会会期中に、意味があるんだかないんだかわからない外遊に出かけていたのは知っていたが、昭恵さんもご一緒だったのね。

 森友学園の土地の約8億円値引きの真相は不明なままだ。公文書が改ざんされたり、国会で答弁した官僚が嘘をついたり。なにしろ、土地の値引きの根拠となる、地下深く埋まっていたゴミも嘘だったしな。

 この件について事実を捻じ曲げさせられ、耐えられず死を選んだ役人もいた。

 森友学園疑惑の真相のキーパーソンの一人は昭恵さんだ。彼女がなんにも考えず動いたことから、役人たちが忖度に忖度を重ね、不祥事が起きたの?

 でも、なんにも考えていなかったのなら、罪はないんだろうか?

 もし、彼女のせいで役人が不正を働いたというなら、二度とそういうことが起こらないよう考えなくてはいけないのではないか。

 閣議決定で公人ではなく、私人とされた昭恵さん。公人か私人かなんて、どうでもいいわな。

 本人が理解しているのかいないのかはさて置いて、今までは公権力を使っていたのだから(首相夫人付職員が何人もいたり、国有地を安くするよう、仲が良い人の相談に乗ったり、有名人を公邸に招いてパーティーをしたり)、公の場に出てきちんと自分の言葉で話されるべきだ。

 それからわかることもある。彼女にどれだけ力があったかなど。

 彼女がわからなくても、まわりの判断材料にはなる。森友問題の真相に近づく。

 じつは、家庭内野党といい、マスコミに出まくっていた頃の昭恵さんを、あたしは嫌いじゃなかった。

 天真爛漫のお嬢様で、悪い人には見えなかった。

 当時のあたしの印象通りの昭恵さんであったら、森友学園に自分がどうかかわってしまったのか、正直に国民の前に出てきてしゃべりたいと思っているはずだ。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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