自動車評論家の国沢光宏氏は、誰がなるかで方向性が変わるとみる。

「西川さんの兼務なら、ルノーと争ってでも主導権の回復を目指すと思います。仲良くやろうとするなら、ルノーとの関係が良好な志賀さん。どちらがなっても、大株主との調整は難航しそうですが」

 日産と資本関係がある仏ルノー、三菱自動車の3社連合のトップ会議が11月28日にあったが、人事の具体的な方針は示されなかった。ルノーに強い影響力がある仏政府が日本側に圧力をかけることも考えられ、人事の行方は見通せない。

 アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議で11月30日、安倍晋三首相とフランスのマクロン大統領が会談し、日産とルノーの関係について議論した。中身は公表されていないが、「安定的な関係を維持すべきだ」との考えでは双方が一致したという。だが、「民間の問題」だとしてフランス政府の関与を牽制(けんせい)する日本側と、日産への影響力を弱めたくないフランス側とには溝があった。日仏首脳ともこの問題への関心は高く、事件の行方も絡んで、両国政府のさや当てが当分続くことになる。

 ゴーン前会長は11月19日に逮捕されており、勾留期間は最長で12月10日までの20日間。そのタイミングで再逮捕される可能性もある。

 年末に向け、日産経営陣の気が休まるときはなさそうだ。(本誌・浅井秀樹、多田敏男)

※週刊朝日オンライン限定記事