G20の記念撮影を終えたフランスのマクロン大統領(右)と安倍首相=ブエノスアイレス(c)朝日新聞社
G20の記念撮影を終えたフランスのマクロン大統領(右)と安倍首相=ブエノスアイレス(c)朝日新聞社
東京地検特捜部に逮捕されたカルロス・ゴーン日産自動車前会長(c) 朝日新聞社
東京地検特捜部に逮捕されたカルロス・ゴーン日産自動車前会長(c) 朝日新聞社

 会社を私物化していた疑惑が次々に報じられるカルロス・ゴーン日産自動車前会長。金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたが、容疑は認めていない。元特捜部長の大物弁護士を雇って“徹底抗戦”の姿勢を示している。

 前会長の弁護人になったのは特捜部長として旧ライブドアの粉飾決算事件などを手がけた大鶴基成氏。経済事件に詳しく捜査の手の内を知り尽くしている。前会長とともに逮捕されたケリー前代表取締役の弁護士には、「ロス疑惑」事件などを担当した喜田村洋一氏が担当。捜査側にとって2人は手ごわい相手だ。前会長は米国の大手法律事務所とも契約し、海外からも支援を受ける。

 前会長は逮捕容疑について、「違法ではない」と反論している。虚偽記載の内容は2010~14年度の報酬が実際は合計で約100億円あったのに、約50億円しか記載していなかったというもの。実は約50億円分は退任後に受け取るもので、前会長は「支払いは確定しておらず記載義務はない」と主張している。

 海外の住宅の費用を会社側に負担させたことについても、「業務のため必要だった」などと説明しているようだ。会社側が虚偽記載や私物化の内容を説明していないので主張の是非はわからないが、逮捕の正当性に疑問も出ている。

「経営トップの不正が疑われた場合、まずは取締役会で議論すべきだ。第三者委員会を立ち上げて調査し、必要なら刑事告訴・告発すればいい。今回はいきなり逮捕しており、社内調査の内容も不明です。現経営陣が検察と組んでゴーン前会長を追い出そうとしたとみられても仕方ありません」(企業不祥事の専門家)

 実際、前会長の出身母体の大手自動車会社ルノーがあるフランスでは、現経営陣によるクーデターだとの見方が広がる。米国でも大手経済紙が「宗教裁判」だと批判するなど同情的な論調がある。前会長は国際世論を味方に、検察や会社側に対抗していくようだ。

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ゴーン氏の再逮捕は?