イラスト/コウゼンアヤコ
イラスト/コウゼンアヤコ

 脳卒中、心筋梗塞はどちらも突然発症する恐ろしい疾患です。ただ、リスクとなる疾患や生活習慣を改めることで、発症の確率を減らすことができます。週刊朝日ムック「突然死を防ぐ脳と心臓のいい病院2019」では、東京医科大学病院健診予防医学センター長の山科章医師と山王メディカルセンター脳血管センター長の内山真一郎医師に、代表的な発症原因について取材しました。

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 脳卒中、心筋梗塞とも、発症に深く関わってくるのが、血管が硬く、狭くなる動脈硬化です。

 動脈硬化が進行する大きな原因は加齢ですが、それ以外にもさまざまなものが挙げられます。特に注意すべきなのが高血圧です。高い血圧が血管の壁に負担をかけることで、動脈硬化を進ませ、動脈が詰まったり、破れたりする原因になります。山王メディカルセンター脳血管センター長の内山真一郎医師はこう説明します。

「上の血圧と下の血圧がともに高ければ高いほど危険です。また、血圧の変動幅が大きいのもよくないといわれています」

 次いで危険なのが糖尿病です。発症している人は高血圧よりは少ないものの、動脈硬化を急速に進めていくため、若いうちから脳卒中、心筋梗塞を発症しやすくなってしまいます。

 また、脂質異常症も気をつけるべき疾患です。血中に含まれる脂質のうち、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが高いとよくありません。ただ、これについては、治療による介入が糖尿病より容易だと、東京医科大学病院健診予防医学センター長の山科章医師は指摘します。

「よい薬が登場したことで、LDLコレステロール値が危険な水準を超えた160ミリグラム/ dl程度でも、薬で100くらいまで下げられるようになりました」

 疾患以外で大きなリスクとなるのが喫煙です。血管の収縮や、高血圧、動脈硬化の原因となるため、一切吸わない、吸っていても早く禁煙するのが大切と、両医師とも指摘しています。

 ここまで挙げてきたリスクは、いずれも生活習慣と深く関わってきます。食事や運動、禁煙などに日々気を配るとともに、異常があれば、医師の治療・指導を受けることが大切です。

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具体的なリスク要因とは?