アトピー性皮膚炎は注射でかゆみを劇的に軽減 10年ぶり「新薬」の実力とは?

ヘルス

2018/11/22 11:30

写真左から佐伯秀久医師(日本医科大学病院、皮膚科教授)、中原剛士医師(九州大学病院、皮膚科准教授)
写真左から佐伯秀久医師(日本医科大学病院、皮膚科教授)、中原剛士医師(九州大学病院、皮膚科准教授)

 中等症以上の治療に選択肢が増えた。新薬は皮膚症状を改善させるだけでなく、かゆみを抑える効果も強い。患者にとってつらく、病気を悪化させる一因でもあるかゆみに対する治療としても期待されている。

*  *  *
 アトピー性皮膚炎の重症度は、軽症、中等症、重症、最重症に分類される。成人患者の中心である20、30代は、約3割が中等症以上だ。中等症以上では、外用療法で症状をうまくコントロールできないこともある。

 その場合、シクロスポリンという免疫抑制薬を短期間、内服する方法や、紫外線を照射する治療がおこなわれる。しかし、シクロスポリンには副作用として腎機能障害や高血圧のリスクがあり、紫外線療法は週1、2回の通院が必要だ。

 そこに2018年4月、選択肢が加わった。アトピー性皮膚炎の治療薬としては10年ぶりの新薬となる「デュピルマブ」だ。「生物学的製剤」の一種で、化学的に合成された物質ではなく、生物が産生するたんぱく質などを薬として利用する。対象は中等症以上で、ステロイド外用療法などを6カ月以上続けても効果が不十分だった患者に用いる。

 重症度の判定で国際的に用いられる「EASI」というスコアがある。範囲は0~72で、数値が大きいほど重い。7.1~21が中等症、21.1~50が重症、50.1~72が最重症だ。

 デュピルマブは注射薬で、初回に2本、以後は2週に1本ずつ打つ。臨床試験では、患者を2群に分け、一方には実薬、他方にはプラセボ(偽薬)を投与し、両群ともステロイド外用薬を併用した。試験期間は52週間だった。

 16週後、EASIスコアは実薬群で平均80%低下した。具体的にいうと、皮膚病変は3人に1人の割合で「消失」または「ほぼ消失」し、かゆみは平均で半分以下になった。この効果は52週後まで続いた。

 臨床試験を担当した九州大学病院皮膚科准教授の中原剛士医師は言う。

「デュピルマブは画期的新薬と言えるでしょう。効果の程度に個人差はあれ、症状に変化のない患者さんはほとんどいません。これまで何をやってもだめだった方も改善しています」

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1回目の注射でかゆみが軽減

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