片手で洗濯物が干せるハンガー「いちどにありがとう」 (提供写真)
片手で洗濯物が干せるハンガー「いちどにありがとう」 (提供写真)
自助具や便利グッズリスト(週刊朝日2018年10月26日号から)
自助具や便利グッズリスト(週刊朝日2018年10月26日号から)

 身体の衰えとともに日常生活に不便さを感じてきたとき、頼りになるのは代行サービスだけではない。自身の動作をサポートするような道具「自助具」や便利グッズを取り入れるのもおススメだ。

【自助具や便利グッズリストはこちら】

 自助具とは、日常生活の動作を便利に、容易に行うために、運動能力や身体機能を補うように工夫が施された器具のこと。障害のある人のために作られた道具と思われがちだが、加齢で筋力や平衡機能が衰えてきたシニアに適した道具でもある。

「自助具を用いることで生活はぐっと楽になります」

 と話すのは日本作業療法士協会で福祉用具対策委員長を務める渡邉愼一さん。一見すると、普通に売られている日用雑貨と変わらないものもあるが、どこが違うのだろうか。一つの特徴は持ち手などが「太い」こと。筋力が弱り、関節が痛んでいても握りやすくなっている。

「たとえば手すりや包丁、マグカップなどの持ち手は、太いほうが握力の負担が減ります」

 また「滑らない」というのも特徴の一つ。

「手を使う動作は、たいてい両手を必要とします。例えば、食材を切る動作。片方の手でモノを固定して、もう片方の手で包丁やナイフなどの道具を操作する。自助具には、食材を固定できるまな板や、お皿が動きづらくなるマットなどがあり、片手で食材を切れるなど、押さえるほうの手の力が弱くても道具を容易に操作できます」

 ほかにも下記一覧のとおり、さまざまな工夫が施された自助具がある。なお、こうした自助具は、車いすや介護ベッドとは違い、介護保険の適用外だ。

 多くの自助具を取り扱うアビリティーズ・ケアネットの担当者は「量販店での購入か、最近はインターネットで購入される方も多く見られます」と話す。ただ、購入する前に実際に触れてみたほうが、自身に適したものを選べる。

「高機能ハンガー(※1)を実際に試されたご高齢の女性が、これなら私でも楽にできると喜んでいらっしゃいました」(担当者)

 生活雑貨を取りそろえる大手ホームセンターの東急ハンズではシニアの生活を助ける便利グッズが多種、販売されている。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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