現在、我が家には2匹のオスがいますが、先日アクアショップで珍しくメスが売られているのを見て、ふと「ウチの子たちって、女をまったく知らないまま死んでいくのか」と、彼らが“リアル『淋しい熱帯魚』”である事実に気付きました。メス同士は同じ水槽でも飼えるとのことだったので、さっそく色どりの違うメスを3匹買って帰り、オスたちの間に置いてみたところ……。それまでダラダラと泳いでいるだけだった彼らの様子が一瞬にして変わったではありませんか。『色めき立つ』とはまさにこのこと。ずっとオカマに飼われていたら、魚だって本能が曖昧になる……はずなどないのは分かっていましたが、改めて『マジョリティ』というものをまざまざと突きつけられた感じがしました。魚を通して。「ふん! どうせ男なんて結局は女だったら誰でもいいんでしょ?」と拗ねる私をよそに、オスたちは今まで見せたことのない華麗な舞いで求愛を始め、それを見ながらメスたちは「ねえねえ、あの男どう思う?」などとガールズトークに花を咲かせています。どうやら相性良さげなカップルがひと組成立したようなので、気が向いたら繁殖させてやってもいいかなと思っている次第です。
ところで、ラーメンか何かのCMで、女の妖精が出てくると思っていた千葉雄大の目の前にカズレーザーが現れて、「バッチ来ーい!」と叫ぶやつがありますが、あれにもまた『マジョリティ』の強大さを痛感させられます。ゲイでもバイセクシャルでもBL(ボーイズラブ)でも何でもいいけど、「バッチ来ーい!」って。男同士の世界なんて、結局は『さぶ』や『薔薇族』の時代から大して変わってないってことです。
※週刊朝日 2018年10月12日号