美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長(写真:高須クリニック提供)
美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長(写真:高須クリニック提供)
パートナーの漫画家・西原理恵子さん(c)朝日新聞社
パートナーの漫画家・西原理恵子さん(c)朝日新聞社

「がんは病気のうちでも、すぐに死んじゃう病気ではありません。むしろ肺炎や心筋梗塞(こうそく)の方が怖いです。即死するがんはない。ゆっくり準備をする暇もありますし、僕は高齢者ですから、がんは全然怖くないです」

【写真】パートナーの漫画家・西原理恵子さん

 美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長(73)は、明るい声で取材にこう答えた。

 高須院長はがんであることを、9月28日にツイッターで告白した。

<僕は何カ所も癌があります。樹木希林さんと似たようなものです>

 これには心配する声が相次いだが、本人はいたって冷静だ。がんが発覚したのは4年前。自分で血尿に気づき、検査機関で確認してもらったところ、がん細胞が見つかった。尿管がんは、すでにほかにも転移していたという。

「樹木希林さんが『全身がん』と、いい表現をしていましたよね。彼女のいう通りがんは全身病です。体中に火の粉が散らばっているようなものですから」

 がん細胞は誰にでもある。免疫によって広がらないようにしながら、みんなそれを抱えたまま生きているという。

「ぼくが医学生の時、献体(医学の教育・研究のために提供された遺体)して下さった方々を解剖してみると、みんながんを抱えていたんです。その方々が何で亡くなられたかというと、老衰や肺炎、脳出血で亡くなっていて、がんで亡くなられた人はいなかった。がんになるまで長生きをできたハッピーな人たち。がんとは共存して長生きできるんです」

 医師としての専門知識がある高須院長は自らのがんに対しても、「老衰がちょっと早めに来たぐらいの感じ」という。
 家族やクリニックの関係者らには、以前から伝えていたという。パートナーの漫画家・西原理恵子さん(53)にも、もちろん報告した。

「がんが見つかったよっていったら、『ああ、そうなの』と。彼女の前のご主人は腎臓がんだったので、『がんの人は珍しくない』と言っていましたよ」

 今年のノーベル医学生理学賞は、京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授らに贈られた。免疫をがんの治療に生かす手がかりを見つけ、「オプジーボ」など新しい治療薬の開発につながった。高須院長も喜ぶ。

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