Q 耳かきのしすぎは耳(聴力)によくない?

A 頻繁な耳かきで慢性外耳炎や聴力低下も

 綿棒や竹材の耳かきを使用して毎日のように頻繁に耳かきをおこなうと、外耳道に傷がついて外耳炎になることがあります。まれに慢性の外耳炎で外耳道が肥厚してふさがり、鼓膜が見えない状態になって聴力が落ちることもあります。また、耳かき中に誤って鼓膜を突いてしまい、外傷性の鼓膜穿孔(せんこう)を起こす恐れもあります。

 鼓膜穿孔は小さい穿孔であれば自然にふさがる場合もありますが、穿孔した箇所によっては、耳の痛みや出血のほか、めまいや難聴、耳鳴り、耳漏などが起こります。耳あかは自然に外に排出されるため、基本的に耳かきは必要ありません。もし汚れが気になる場合は、入浴時などに耳の入り口付近を軽く拭うように洗うといいでしょう。

Q 聞こえが悪くなるのはまず高音から? モスキート音(蚊が飛ぶ音)が高齢者は聞こえない?

A 加齢とともに高音域から聞こえにくく

 加齢とともに通常、比較的高音域から聞こえが悪くなってきます。日常会話の中で発音される母音(ア行)は音の大きさが大きく低音域のため比較的聞き取りやすいですが、高音域の子音は聞き取りにくい傾向にあります。とくに声帯振動を伴わない無声子音(日本語ではカ行、サ行、タ行、ハ行、パ行)は高音域で音も小さめなので、もっとも聞き取りにくく、「佐藤(さとう)さん」と「加藤(かとう)さん」を聞き違えてしまう、というようなことが起こりやすくなります。

 モスキート音(蚊が飛ぶ音)や電子体温計の測定終了時のアラームなどの電子音も、高音のため聞こえにくくなります。そうした音に気づかないことがたびたびあれば、難聴が進行している可能性があります。

◯監修
岩手医科大学病院耳鼻咽喉科教授
佐藤宏昭医師

(文/石川美香子)

※週刊朝日ムック『「よく聞こえない」ときの耳の本』から