従業員に送られた「有給チャンスクイズ」のメールの一部(ブラック企業ユニオン提供)
従業員に送られた「有給チャンスクイズ」のメールの一部(ブラック企業ユニオン提供)
企業をいかに指導していくかが問われる厚生労働省(多田敏男撮影)
企業をいかに指導していくかが問われる厚生労働省(多田敏男撮影)

 クイズに正解しなければ年次有給休暇(有休)を取得させない――。こんなワル乗りのトンデモ上司が実際にいた。

 個人加盟の労働組合「ブラック企業ユニオン」は今月、サントリーグループの自動販売機運営会社で、支店長が部下に「有給チャンス」というクイズを出していたことを公表した。

 ユニオンによると問題があったのは、サントリー食品インターナショナルの子会社「ジャパンビバレッジホールディングス」(JBHD)傘下のジャパンビバレッジ東京。

 この会社の支店長が2016年5月、複数の部下にメールでクイズを出題。都内の15の駅名を挙げて、「売上の高い順に並び変えてください」という超難問だった。「全問正解で有給チャンス 不正回答は永久追放します。まずは降格」などと記載していた。

 結局、全員不正解だったため、有休は取れなかったという。支店長は「残念ながら全員はずれでした。よかった。よかった」などというメールも送っていた。

 そもそも有休の取得は、労働基準法で定められた労働者の権利である。上司に与えるかどうかの権限はない。JBHDは8月21日、「クイズに正解しなければ有給休暇の取得ができないといった制度はございません」「このようなメールを送るという行為はあってはならないこと」とのコメントを出し、支店長を処分する方針を示した。

 サントリー食品インターナショナルは、支店長がメールを送った16年当時から問題を把握していた。JBHDに対し、調査の指示や指導などを行わなかったのか。

「総務部に匿名の通報メールが届いていたことから、事態を知ることになりました。すぐにJBHDのほうに調査方法などを指示しました。JBHDの総務部では、支店長と数名の従業員に聞き取り調査をしています。その時点では(クイズの)メールが見つからず、『有休が取れる職場環境を整えるように』と支店長を口頭注意したと聞いています。匿名メールでしたので、通報者には報告できませんでした」(広報部)

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