イラスト/CHARAPHIC LAB Co. Ltd.
イラスト/CHARAPHIC LAB Co. Ltd.

 がんと告知された患者は、ただでさえ冷静に説明を聞くことが難しい心理状況なのに、かぎられた診察時間で、医師と適切にコミュニケーションをとることはさらに難しいことといえるでしょう。ここでは、「主治医とケンカしてしまった!」「担当医を代えてほしい」について、日本医療コーディネーター協会代表理事・嵯峨崎泰子さん、聖路加国際病院相談支援センター医療連携室・がん相談支援室アシスタントナースマネジャー橋本久美子看護師に回答してもらった内容を紹介します。

*  *  *

Q:主治医とケンカしてしまった!

A:深刻になる前に看護師など第三者に相談しましょう

 患者は病気の不安・迷い・怒りなどがあるゆえに、医師のちょっとした言葉や表情に傷つきます。一方、担当医は患者のがんに真剣に向き合うがゆえに、こんなに親身に言っているのに、なぜ聞き入れてくれないのかと、熱くなることもあります。ちょっとした行き違いからケンカのようになってしまうケースもあります。

 いくら腹が立ったとしても、医師に罵詈雑言を浴びせて席を立つようなことだけは、しないようにしましょう。

 とはいえ、その場は収めても、一度抱いた感情を我慢して治療を続けることは大きなストレスになり、あとあとの治療に悪影響を与えかねません。

■感情的にならず冷静に自分の気持ちを伝える

 トラブルが大きくなる前に、診察に同席してくれていた看護師に、「先生のあの言葉に傷つきました」「ああいう態度はどうなんでしょうか」と、尋ねてみましょう。誤解があったのなら、「先生はそんなつもりで言ったのではないと思いますよ」と、医師に代わって説明をしてくれるはずです。同席していなくても、医師のどんな点に不愉快になったか、伝えてみましょう。

 また、がん相談支援センターでも相談することができます。

 第三者に話すことで、自分の感情を冷静にとらえることもできるでしょう。

 同じ病院だと医師に相談内容が伝わらないか不安でしょうが、看護師もがん相談支援センターも中立の立場を守るので、基本的に心配いりません。あくまでも第三者として、仲立ちをしてくれます。

 ただ、その後の治療に影響が出そうだと判断されたら、「このことは先生にも相談してみますね」と言われることもあります。その場合は内緒にしてほしいと言うのではなく、こちらの気持ちを医師に伝えてもらいましょう。 看護師立ち合いのもと、医師との面談の時間をとってもらってもいいでしょう。その際は冷静に、なぜ自分がそのような感情をもったかを伝えます。医師の言い分も十分に聞きましょう。

 患者も医師も、がんを治したいという思いは同じです。そこをしっかり押さえて、お互いに折り合いのつく点を探りましょう。

次のページ
担当医を変えてもらうには…