年々深刻化する「万引き老人」 原因は社会とのつながりのなさから?

シニア

2018/07/26 07:00

左から、カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した是枝監督と樹木希林ら出演者(写真はイメージです) (c)朝日新聞社
左から、カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した是枝監督と樹木希林ら出演者(写真はイメージです) (c)朝日新聞社
近年の万引き検挙人員に占める高齢者の割合(警察庁の統計資料から作成/週刊朝日 2018年8月3日号より)
近年の万引き検挙人員に占める高齢者の割合(警察庁の統計資料から作成/週刊朝日 2018年8月3日号より)
近年の万引きの認知件数・検挙件数・検挙人員の推移(警察庁の統計資料から作成/週刊朝日 2018年8月3日号より)
近年の万引きの認知件数・検挙件数・検挙人員の推移(警察庁の統計資料から作成/週刊朝日 2018年8月3日号より)

 カンヌ国際映画祭で日本映画として21年ぶりに最高賞を受賞し、大ヒットしている是枝裕和監督の「万引き家族」。映画では祖母役・樹木希林がパチンコ玉を万引きするシーンが描かれているが、近年は高齢者の万引きの深刻化が指摘される。

 原因の究明と同時に現時点で必要なのは、万引きをしてしまう高齢者が個々に抱える問題といかにして向き合い、それを解消していくかだ。

 今年6月、東京都青少年・治安対策本部は約4週間にわたり、高齢者の万引きに関する無料電話相談を実施した。

 これは、万引きを繰り返してしまう高齢者本人やその家族、周囲の関係者などを対象として匿名、秘密厳守で相談を受け付け、助言を行うというもの。

 高齢者の万引きには再犯が多いことも問題で、東京都では16年に万引きで検挙された高齢者の6割近くに過去に万引きを含む犯歴があり、再犯防止対策は急務となっている。

 また、通常であれば万引きは現場で露見するが、中には認知されなかったり、事件化されずに軽微な処分で済んでしまうことで、犯罪の入り口をさまよっている高齢者は少なくないとされる。

 その点、匿名可で万引きの相談窓口を設けたことで、捕まらないゆえに万引きを繰り返してしまう高齢者や周囲の悩みに対しても相談の間口を広げたことの意義は大きい。

 東京都青少年・治安対策本部の濱村竜一氏が語る。

「そもそも万引きに関する悩みはどこに相談したらよいかわからないという高齢者や家族、関係者は多いと思います。

 こうした機会に高齢者本人や周りが、万引き防止のために自発的に動くことができるようになっていけばと思います」

 詳しい結果は東京都の報告を待ちたいが、今回寄せられた相談は70件強。約3分の1が本人、約2分の1が配偶者や親子などの家族、残りは近隣や民生委員など周囲の関係者からの相談で、高齢者が認知機能の低下にともなって万引きをしてしまうとおぼしき例が多かったという。

 この電話相談では、万引きに関わる高齢者の悩みをいかにして既存の社会福祉支援につないでいくかも重視された。

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