当面の間、休養することを発表した三宅裕司さん(c)朝日新聞社
当面の間、休養することを発表した三宅裕司さん(c)朝日新聞社
前立腺肥大症の光選択的レーザー前立腺蒸散術(『差がつく70歳からの病気 サインと最新治療』から)
前立腺肥大症の光選択的レーザー前立腺蒸散術(『差がつく70歳からの病気 サインと最新治療』から)

 タレントの三宅裕司(67)が22日、前立腺肥大症の治療のため、当面の間、休養することを発表した。メインパーソナリティーを務めるニッポン放送「三宅裕司サンデーヒットパラダイス」で、自ら発表した。6月上旬に「おなかがぽっこり出た」ことで病院で検査。すると前立腺肥大症だったことが判明したという。既に入院中で、状況が整い次第、手術に臨むという。前立腺肥大症は、加齢によって発症し、尿が出にくい、トイレが近いなど、排尿にまつわる症状が出る病気だ。発売中の書籍『差がつく70歳からの病気 サインと最新治療』から、前立腺肥大症の最新治療を紹介する。

【前立腺肥大症の手術法の一つ「レーザー前立腺蒸散術」の仕組みはこちら】

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 前立腺は膀胱の下にある男性特有の臓器だ。体積は約20ミリリットルで、クルミ程度の大きさ。精液の一部をつくるなど、生殖にかかわる機能をもつ。前立腺肥大症は、内腺と呼ばれる部分が大きくなって腫瘍化(良性)する病気だ。前立腺は尿道を囲むように位置しているため、大きくなると尿道を圧迫し、次のような症状を引き起こす。

▼頻尿、夜間頻尿、過活動膀胱(急に尿意が起こり我慢できない)、失禁(尿が漏れる)などの「蓄尿(ちくにょう)症状」

▼尿が勢いよく出ない、排尿に時間がかかる、途中で止まるなどの「排尿症状」

▼残尿感などの「排尿後症状」

 いずれも不快な症状で、患者のQOL(生活の質)は低下してしまう。

 獨協医科大学病院排泄機能センター長の山西友典医師はこう話す。

「一般的に50代以降、前立腺肥大による症状が出る人が多くなると考えられます」

 前立腺肥大があっても症状がなければ、治療の対象にはならない。治療が必要なのは70代で12%といわれている。治療法として、薬物療法と手術があり、症状を軽減してQOLを上げることが目標になる。

 栃木県在住の戸村功さん(仮名・73歳)は1年前から夜間にトイレに起きるようになり、最近はその回数が4~6回に増えた。近所の泌尿器科を受診すると前立腺肥大による夜間頻尿と診断され、α1遮断薬(後述)という薬を飲むことになった。しかし、薬を飲むとめまいが起こったため、服薬を中止し、獨協医科大学病院の排泄機能センターを受診した。

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前立腺肥大症の治療は、まず薬物療法