新大久保駅の近くには、韓国料理の店や物販店が立ち並ぶ(撮影/中川透)
新大久保駅の近くには、韓国料理の店や物販店が立ち並ぶ(撮影/中川透)
JR東日本 乗車人員の伸び率ベスト30 
JR東日本 乗車人員の伸び率ベスト30 

 JR東日本の乗車人員が多い駅上位は、(1)新宿(2)池袋(3)東京、と毎年同じ顔ぶれ。では、2017年度に乗客の伸びが大きかった駅はどこか。1位は山手線の新大久保で、前年比9.8%増と断トツだった。なぜ新大久保の乗客が増えているのか。

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 JR東が7月発表した乗車人員上位100駅のなかで、17年度と16年度の乗客数を比べた。年間伸び率のベスト30(表参照)をみると、(1)新大久保9.8%増(2)さいたま新都心8.4%増(3)海浜幕張3.4%増だった。

 新大久保は、13年度に39629人(1日平均、以下同じ)だったが、4年連続で増え、17年度は48220人になった。

 駅の勢いを感じるべく、記者も駅前に降り立った。ハングルの看板が目立つ外貨両替所が駅前に店を構え、街を歩くとイケメン男性から「K-POPカフェです。もらってくださーい」と店のチラシを渡される。「韓流百貨店」「韓流ランド」といった看板の店が立ち並ぶ、言わずと知れたコリアンタウン。街は若い女性でにぎわい、食べ物のにおいであふれている。

 訪れるのは、韓流ファンの日本人だけではない。

 東京都がまとめた外国人観光客の訪問地調査によると、「新宿.大久保」地区は回答者の56%(複数回答)が訪れてトップ。「銀座」50%、「浅草」46%、「渋谷」43%、「秋葉原」39%を引き離す。新宿・大久保は、日用雑貨や化粧品の買い物を楽しむ観光客が多いという(東京都『2017年国別外国人旅行者行動特性調査』)。

 この駅を利用する外国人は、観光客だけではない。

 新大久保が最寄りの新宿区百人町1・2丁目、大久保1・2丁目は、人口に占める外国人比率が40%前後に達する。新宿区全体の約12%、東京23区の約4%と比べ、格段に高い(17年1月現在)。駅の乗客数の伸びも、韓流ブームや外国人の多さなど、アジアの勢いを映すかのようだ。

 2位のさいたま新都心も、乗客数が近年伸び続けている駅。関東経済産業局など国の出先機関の官庁街があり、飲食・物販店が集まる商業施設「コクーンシティ」、コンサート会場に使われる「さいたまスーパーアリーナ」などが駅前に立ち並んでいる。

 3位の海浜幕張は、国際展示場「幕張メッセ」の最寄り駅。4位武蔵浦和3.2%増、5位浦和3.1%増と続き、トップ5のうち3つが埼玉県内の駅だ。

 上位で特筆すべきは、6位東京の3%増。乗客数の多い駅は、人数が大幅に増えないと高い伸び率にならないが、東京は16年度約44万人から17年度約45万3千人と、1万3千人も増えた。赤れんが駅舎に面した丸の内駅前広場の改修工事も17年末に終わり、新観光名所としてにぎわう。

 乗車人員上位100駅のなかで、前年度より乗客が減った駅は計7つ。

(1)原宿2.3%減(2)菊名0.5%減(3)大船0.4%減(4)渋谷0.2%減(5)辻堂0.2%減(6)錦糸町0.1%減(7)飯田橋0.1%減だった。(本誌・中川透)