ウナギ好きな斎藤茂吉の“遠慮のない”エピソードとは? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ウナギ好きな斎藤茂吉の“遠慮のない”エピソードとは?

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鈴木裕也週刊朝日

18トンの目透き石をくりぬいた「大石くり抜き露天風呂」は茂吉が「霊泉」とたたえた源泉100%の名湯

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茂吉の書。「霊泉延年」は寿命が延びる効能ある湯という意味

茂吉の書。「霊泉延年」は寿命が延びる効能ある湯という意味

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は「斎藤茂吉」の「和歌の宿 わかまつや」(山形県・蔵王温泉)だ。

【写真】斎藤茂吉の貴重な書はこちら

*  *  *
 わかまつやは斎藤茂吉と親戚関係にあり、先々代と茂吉は学生時代、下宿先も同じで気の合う仲間だった。

 蔵王の麓生まれの茂吉は、帰省のたびにこの宿を訪れ、酒を酌み交わした。母親が亡くなった大正2年には、葬式の後も長逗留し、傷心を癒やすかのように黙々と瀧山に登ったという。歌集『赤光』の連作「死にたまふ母」の大半もこの宿で詠まれた。

 昭和8年に滞在した際には当主に拝み倒され、写真の書「霊泉延年」を渋々書いた。茂吉は書について「三無い」を自らに課していた。その「大きな字は書かない」「為書きはしない」「書を直接、碑文にしない」をすべて破った貴重な書である。

 昭和16年にも瀧山登山のために宿泊し、登山中に10首、山頂で9首の歌を詠み、歌集『霜』に収めた。

 無類のウナギ好きだったという茂吉は、この宿で開催した歌会の際の食事で、弟子の皿に自分のより大きなウナギがのっているのを見ると、誰に恥じるところもなく取り換えさせたという。この宿では、つい遠慮のない振る舞いをしてしまうのだ。

 歌聖・茂吉にとって「わかまつや」は実家同然の場所だったのだろう。(文/本誌・鈴木裕也)

■和歌の宿(うたのやど) わかまつや
山形市蔵王温泉951―1

週刊朝日 2018年5月18日号


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