数年前から、声がかすれ、心配はしていたが、名球会などのイベントには必ず顔を出してくれた。こだわりを持った超一流選手の集まりの中でも、みんなと調和を図りながら真剣にイベントに取り組む姿は頭が下がる思いだった。現役時代から使っている道具メーカーが一緒で、よく話もしていた先輩。色んな思い出が浮かんでくる。

 2215試合連続出場。年間143試合に出続けても16年かかる計算だ。20歳代前半に絶対的なレギュラーとなっても、40近くまで続けなきゃいけない。しかも、今は控え選手の層も厚くなってきている。絶対的な主力であっても、コンディションを見て休養することがある時代だ。ただ、今の選手たちはその状況に甘んじることなく、試合に出ることが当然だと思ってほしい。球場に足を運んでくれるファンの中には、一生に一度の観戦となる方だっている。コンディションを整えるために、日頃から何をすべきか。コンディショニングの重要性を認識する姿勢は、当時から衣笠さんは突出していたと思う。「鉄人」の精神は時代が変わっても忘れてはいけない。

週刊朝日 2018年5月18日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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