3試合連続本塁打を放つ大谷=6日(c)朝日新聞社
3試合連続本塁打を放つ大谷=6日(c)朝日新聞社
右から、野茂英雄、イチロー、松井秀喜(c)朝日新聞社
右から、野茂英雄、イチロー、松井秀喜(c)朝日新聞社

「日本からこんな選手が現れるとは、夢にも思いませんでした」

【メジャーリーグで活躍した選手たちはこちら】

 エンゼルスの大谷翔平選手(23)について、メジャーリーグを半世紀以上見続けてきたアメリカ野球愛好会顧問の池井優・慶応大学名誉教授はこう語った。

 4月11日(日本時間12日)のレンジャーズ戦は3打数1安打1打点。12日のロイヤルズ戦は4打数1安打3打点、1四球(申告敬遠)。13日のロイヤルズ戦は4打数2安打。この時点で打率3割6分7厘、3本塁打、11打点。投手としては2勝0敗、防御率2・08、18奪三振という大活躍だ。

 打者として出場した試合で開幕から3試合連続本塁打。投手として先発した2試合目のアスレチックス戦は被安打1、12奪三振で2勝目。そのピッチングがストレートとスプリット(フォークボール)主体のため「野茂(英雄)スタイル」と表現するメディアも。3試合連続本塁打&2勝はベーブ・ルース以来97年ぶり2人目という偉業だ。アメリカン・リーグの週間MVPに選ばれる見事な「二刀流」ぶりで、開幕前の下馬評の低さを見事に覆した。

 米メディアには「この星の生まれではない」などと大げさな表現があふれる。ベビーフェースで、“二刀流女子”なるファンも現れ大騒ぎだが、「これぐらいはすると思っていた」というのはフィラデルフィア・フィリーズの大慈彌功・環太平洋担当部長だ。

 MLB球団のスカウトとして数え切れないほどの選手を見た同氏にとって、三本の指に入るピッチングが2016年9月28日の大谷投手。1安打完封で、「コントロールも、変化球のキレも、全てが良かった」。もちろん打者としても評価する大慈彌氏は「無理させなければベーブ・ルースの記録(1918年の投手として13勝、打者として11本塁打)は超える」という。

 記者は大谷に謝らなければならない。4月13日号の「エンゼルス大谷 辛口評価の理由」の記事で、開幕直前に打撃フォームをすり足に変えたことを「突貫工事としか思えない」などと書いたからだ。

「日本でポピュラーな、足を上げるフォームは、足の短い日本人が体重移動しやすく、ボールに力を伝えやすいもの。足の長い選手はノーステップでも体重移動がスムーズにできる。チームメートからも『デカい』と言われるほどの身長(193センチ)で手足の長い大谷は、日本の常識では語れない」(ベテラン記者)

次のページ