しかし、1980年代に設立された新興の私立中高一貫校、渋谷教育学園幕張(渋幕)に、今は大きく引き離されている。渋幕を設立した田村哲夫氏は自著でこう振り返っている。

〈私立が比較的強い東京や神奈川以外の地区では、勉強のできる生徒は県立を志望し、県立校のなかでも序列が決まっていました。(中略)千葉県の場合、その県立高校のトップに立つのが県立千葉高でした。私はこのヒエラルキーを打ちこわすことで、千葉県から一層優秀な人材を輩出できると思いました〉
(田村哲夫著『渋谷教育学園はなぜ共学トップになれたのか』中公新書ラクレ)

 私立がいち早く採り入れ、公立でも2000年代以降に広がった中高一貫。受験競争をあおるとの批判が当初からあり、適性検査や調査書中心の選抜だ。このため、「受験」ではなく「受検」と呼ばれている。

 今春の大学合格実績で注目されたのは、横浜市立南。12年度から付属中を併設し、今春が中高一貫1期生の初の大学入試だった。東大合格5人など、結果は前年から大きく伸びた。

 千葉、神奈川、埼玉の主な公立中高一貫校の合格実績を示したのが、グラフ2(週刊朝日4月13日号「全国2375高校主要大学合格者数総覧」などから作成)。南や横浜サイエンスフロンティアなどが躍進しており、公立中高一貫校が新たな脚光を浴びそうだ。 (本誌・中川透)

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