悪玉ばかりに目を向けていてはダメ(※写真はイメージ)
悪玉ばかりに目を向けていてはダメ(※写真はイメージ)
この記事の写真をすべて見る

 コレステロールに悪玉と善玉があるのは、今や常識。だが、悪玉ばかりに目を向けていてはダメなようだ。

 最近発表された国内の大規模研究「EPOCH−JAPAN」の分析結果で、“善玉”と呼ばれてきた「HDLコレステロール(HDL−C)」が高すぎても、脳卒中や心臓病による死亡リスクが高まることが、明らかになったからだ。研究メンバーの一人、慶応義塾大学大学院の平田あや氏(衛生学公衆衛生学教室)は、こう話す。

「HDL−Cが低いと脳心血管系の死亡リスクを高めることは、多くの研究結果で確かめられていましたが、HDL−Cが高すぎる『高HDL−C』でもリスクになるという結果は、国内では初めてです」

 研究では、40歳から89歳の約4万人を、HDL−Cの検査値によって五つに分類。約12年間追跡して、脳卒中や心臓病が原因で亡くなった人とHDL−Cの値との関係を分析した。その結果、HDL−Cが40~59㎎/dl(以下、単位略)に比べ40未満で1.18倍、90以上で1.43倍、死亡リスクが高まっていた。

「統計学的には40未満では有意差がありましたが、90以上は有意差がない。ですので、あくまでも“可能性がある”といった見方になります」(平田氏)

次のページ