「COPD患者さんのおうちごはん」から
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不足するとうつや認知症のリスクを高める栄養成分(週刊朝日 2018年2月2日号より)
不足するとうつや認知症のリスクを高める栄養成分(週刊朝日 2018年2月2日号より)
カロリーを増やす食事の工夫(週刊朝日 2018年2月2日号より)
カロリーを増やす食事の工夫(週刊朝日 2018年2月2日号より)

『こころに効く精神栄養学』の著者で、科学的に食と心の健康の関係を調べているのが、国立精神・神経医療研究センター疾病研究第三部長の功刀浩さんだ。意外なことに、「現代の食事の最大の問題点は、栄養不足です」と嘆く。

【図】不足するとうつや認知症のリスクを高める栄養成分はこちら

 これまで報告されている国内外の研究によると、現代人に不足している栄養素は、必須アミノ酸(体内で合成できないため食品からとる必要のあるアミノ酸)、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)など、多岐にわたる。功刀さんによると、これらの栄養素の不足はうつや認知症の発症リスクを高めるという。

「例えば、必須アミノ酸の一つトリプトファンは、気分や睡眠などに関わるホルモンの原料で、これが減少すると気分が落ち込みがち。私たちが行った研究でも、うつ病の患者さんは健康な人と比べ、血液中のトリプトファンの量が少ないことがわかりました」(功刀さん)

 だが、飽食の現代で、なぜ栄養不足が起こるのか。功刀さんはこう答える。

「私たちは、味をよくするために精製された食品を口にすることが多いですが、実はこれらには肝心の栄養成分がそぎ落とされている場合が少なくありません。その結果、カロリー過多になるほど食べているのに、脳の健康に必要な栄養成分がとれていないという状況に陥っているのです」

 食品の栄養成分は、果物や野菜の皮や種、魚や肉の内臓など「おいしくない部分」に含まれることが多い。米でいえば、ぬかや胚芽の部分にビタミンやミネラル、食物繊維が含まれるが、精米した段階で、それらが大部分除去される。

 こうした栄養不足を解消すべく、功刀さんが提唱する「不老メシ」は、「食材は丸のまま食べる」「野菜やレバー、大豆製品、乳製品をとる」の二つだ。

 例えば、野菜はできるだけ皮をつけたまま調理し、りんごなど果物も皮つきで。魚は丸ごと食べられる小魚類やいわしの丸干し、干物などを選び、肉はレバーなど内臓も食べる。米は玄米や胚芽米、パンは全粒粉を選ぶ。

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