「日本で時代劇の放送が少ないぶん、韓国ドラマを見る男性はかなり多い。特に『師任堂』は、『チャングム』のイ・ヨンエで注目した人も多かったと思います」


 
 一度離れた人が韓流に戻ってきているという流れもあるのだろう。

もともと韓国ドラマは、エンタメとして作品の完成度が高いとファンの間では言われる。社会的な問題を扱った骨太のドラマも多く、ストーリー展開が巧妙で、人間関係の描き方も繊細で奥が深いというのだ。日本では俳優ありきの側面が強いが、韓国では脚本重視という大きな違いがあると落合さんは指摘する。

「韓国では脚本(ストーリー)がまずあって、このドラマに出るべき俳優は誰か、この物語の内容どおりに演じられるのは誰か、という基準でキャスティングが決まります。内容がおもしろいドラマに出た俳優がスターになっていく。脚本を書く作家が最も大事なのです」
 
 その意味で注目に値するのは「太陽の末裔 Love Under The Sun」。韓国ドラマ界のヒットメーカー、脚本家キム・ウンスクが描く、軍人と女性医師のラブストーリーで、韓国国内で最高視聴率41%超をたたきだした。昨年のTSTAYAアジアTVドラマ年間ランキングでも納得の1 位に輝いている。カップル役でドラマで共演した2 人が昨年結婚したことも、話題を呼んだ。

「悔しいけど、お似合いのカップル」(主演俳優のソン・ジュンギのファンの40代女性)
 
 最後に、2018 年注目の作品についても落合さんに解説してもらった。
 
 売れっ子脚本家キム・ウンスクの期待作「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」。高麗の武臣だった主人公は不老不死の身となり、現世を900年以上もさまよい続けた末、天真爛漫な現代のヒロインと恋に落ちるという内容だ。

「少し前から韓国では、時空を超える設定の“タイムスリップ系”がはやっています。日本ではなじみが薄いかもしれませんが、『JIN-仁-』(09年TBS系、江戸時代にタイムスリップした脳外科医が主人公)みたいなドラマと思ってもらえれば理解しやすいのではないでしょうか」
 

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