実際、理事選を前に協会内の動きも不穏になってきた。時津風一門に所属する錣山親方(元関脇寺尾)、湊親方(元幕内湊富士)、立田川親方(元小結豊真将)の3人が、一門を離脱していたことが発覚したのだ。3人は昨年、「貴乃花ファミリー」の忘年会で配られたカレンダーで貴乃花親方と共に女装姿を披露するなど、貴乃花親方と親交がある。理事選に向けて貴乃花親方を支持する動きにも見えたのだが、25日にはスポーツ報知が、3人は理事選で「貴乃花親方に投票しない意向」と報じるなど、情報は錯そうしている。

 貴乃花派のある親方は、3人の離脱についてこう語る。

「錣山親方が、2人(湊親方と立田川親方)引き連れて一門から出てくれて、これで3票追加のようなもの。隠れ貴乃花派は他の一門にも7~8人いるし、今も切り崩している。事実、貴乃花親方に協力すると言っている他の一門の親方もいますから。貴乃花親方と同世代で、現役時代からの相撲道を貫く姿勢を尊敬している親方は、一門関係なくけっこういるんですよ。理事選ではなんとか、貴乃花一門から2人を当選させたい。出羽海一門から出ている4人の理事のうち1人(山響親方)は貴乃花派ですが、もう一人を落選させれば、向こう(八角理事長派)は実質2人になる。こうなれば、理事長選も勝負になりますよ」

 すでに、相撲界全体が理事・理事長選に向けた駆け引きの中で動いており、28日に貴乃花親方に下るであろう処分も、多分に政治的な意味合いを帯びてくるというのだ。

「もし、貴乃花親方にきつい処分が下るなら、これはおおごとになりますよ。民事訴訟だけでなく、白鵬を暴行の共犯として刑事告訴することもあり得る。貴乃花親方はそれくらい覚悟しているだろうと、周囲は見ていますよ」(前出の貴乃花派の親方)

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