人口減少で国内市場が先細るなかで、輸出への期待は大きい。1~9月に1715トン(124億円)と前年比4割増の勢いで、輸出先に台湾も加わってさらに伸びそうだ。JAは17年度に55億円、19年度に130億円の牛肉輸出をめざす。

 今後の伸びのカギを握るのは、日本の牛肉輸入を禁じている中国の動きだ。

 日本畜産物輸出促進協議会が昨年まとめた調査によると、上海では豪州産牛肉が100グラム5千円以上で売られていたという。協議会は「中国は世界の牛肉輸出国にとって、きわめて魅力ある市場」と注目する。

 日本の昨年の牛肉輸出先は、1.香港2カンボジア3.米国4.シンガポール5.タイの順に多い。5カ国・地域で輸出額の8割を占める。

 1人あたりGDPが香港や米国のわずか数%のカンボジアが、なぜこれほど大量に輸入しているかは謎に包まれている。香港や米国への輸出が冷蔵品主体であるのに対し、カンボジアへは冷凍品ばかり。中国の隠れた輸入ルートになっている、との見方がある。

 豚肉文化の中国だが、近年は牛肉が人気。豪州などから輸入を増やし、2004年の1万トンが14年に78万トンに。24年にはさらに倍増する見通しだ。

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