日本から輸出される和牛の量は、国内消費量と比べればまだわずか。ただ、中国が和牛を“爆買い”する日が来れば、日本人の食卓からますます遠ざかる一因となるかもしれない。

 和牛の高値は一体いつまで続くのだろうか。

「当面は高止まりする」との見方が多い一方で、先行きを不安視する声も出始めている。大規模な肉牛農家らでつくる全国肉牛事業協同組合の若松周夫部長は、こんな指摘をする。

「和牛の価格は異常な高値が続き、バブル状態にあります。しかし、バブルは、もうはじけようとしていると思います。来年に向けて、生産者はパニックに陥る可能性すらあります」

 どういうことか。

 子牛の高騰とともに、今までは牛肉の販売価格も上がってきた。しかし、異常な高値水準に達し、足元では頭打ちに。若松さんは来年度に和牛の出荷頭数がやや増えるとみており、価格は下落傾向と予測する。

 消費者には歓迎の動きだが、困るのは高値で仕入れた子牛を約20カ月育てて出荷する肥育農家だ。

次のページ