こうした公的マネーによる株買いには批判も強いが、安倍政権の意向を受けた日銀などが方針を変えることは考えにくい。「官製相場」は安倍政権とともに、長続きしそうなのだ。

 株高を招いているのは海外投資家の存在もある。実は日本の株式市場の売買額のうち、海外の金融機関やファンドなどが占める比率は6~7割に達する。日本の企業や個人などは大量の株を持っているものの、頻繁には売買しないからだ。外国人がどう動くかが株価を左右することになるが、ここにきて積極的に買っている。

 東京証券取引所によると、海外投資家は10月第3週(16~20日)に4452億円買い越した。買い越しは4週連続。9月第2週(11~15日)には約4千億円逆に売り越していた。10月に入って、海外マネーが一気に市場に流れ込んでいる。

 投資支援サービスのフィスコの村瀬智一情報配信部長は、

「今回の日経平均16連騰のけん引役は外国人投資家です。アベノミクスに対する期待がさらに高まり、欧米市場に比べて出遅れていた日本株の買い戻しにつながっている」

 さらに、企業の業績が軒並み回復していることも好材料だ。大手電機メーカーの日立製作所が10月26日に発表した17年9月中間決算は、純利益が1606億円と中間期としては過去最高になった。円安傾向で輸出が好調だったことや、コスト改善を進め「稼ぐ力」を高めた結果だ。

 米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)が15年末から段階的に利上げをしていることで、円安傾向は続くとみられる。円安のメリットを受ける製造業は多く、業績の上方修正が目立つ。通信や建設などでも、内需に支えられて業績を伸ばしているところがある。配当の増加が見込めるため株価にはプラスだ。

 こうした好環境はいつまで続くのか。

「20年の東京五輪・パラリンピックまでは安倍政権も続き、官製相場も維持される。景気も大きくは落ち込まず、市況も期待できる」(大手証券アナリスト)

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