「強気」の相場見通しが高まっている。

 この局面で個人投資家はどう対応したらいいのか。国内外の大手証券会社で調査部門を長く担当した武者リサーチ代表の武者陵司氏は、この波に乗るべきだと断言する。

「現在は長期的な上げ相場の過程で、この傾向はずっと続く。日経平均は3万円台が見えている。米国の景気悪化をきっかけに世界的な景気後退が起きるリスクはあるが、今はそうした懸念はまったく視野に入っていない。安心して株を買える局面です」

 もちろん株価は上がるときもあれば下がるときもある。預金と違って元本割れしてしまうかもしれない。それを理解した上で、余裕のある範囲で投資を始めないと、いつまでたっても恩恵を受けられない。

「今は預金金利も、国債の利回りもほぼゼロ。それに対して株式は配当利回りだけで、平均すると2%近くもらえる。順調な企業収益を背景に、株式はリターンの高い資産となっている。短期的な売買をすると時には乱気流に巻き込まれるので、個人は利回り重視で長期的に保有すればいい」(武者氏)

 日経平均が21年ぶりの高水準では、「高値づかみ」する心配もあるだろう。多くの銘柄を保有し利益を上げている40代の男性投資家は、自分で情報を集めて見極めることが大事だという。

「企業の業績や財務状況を個別に比較していくと、割安な銘柄はまだ多く残っている。ネットなどで調べて自分が伸びると思った企業の株を、少額から買うこともできます」

 自分で調べるのが苦手な人は、証券会社などから情報を得ればいい。初心者は個別株ではなく、日経平均などの株価指数に連動するETFを買う方法もある。(池田正史、本誌・大塚淳史、多田敏男)

週刊朝日  2017年11月10日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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